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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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――2009.02.28



「一瞬誰だか分からなかったわ、あの時から背が高い方だったけど」
「元々に加え中学入って更に成長加速した感はありますが」
「そうなんだ、今何cm位?」
「175前後位かなと」
「うわー、それは完全に見上げて当然ね。私160無いんだもの」
「そうでしたっけ?」
「そうなのよ、最近の子供って発育良過ぎて先生より高い子ばっかり」
「櫻井先生は今はどちらに?」
「茨城の南の方よ。未だに採用試験受からずに講師してるダメ先生で」
「えー、先生だったら直ぐに本当の先生になれそうなのに」
「何処までも本番に弱いのよ……一体後何年かかるのかしら」
「既に7年の時点で流石にそれは……それにしても」

あれから吃驚する位全然変わってないですね、と少年は女性に笑んだ。

「さっき見た時驚きました、7年経ってるようには全く見えなくて」
「そう? でも裏では美容に必死なの、歳取りたくない女心の為に」
「結婚……はされてないんですか?」
「自分の夢に全力尽くしてたら行き遅れました存分に笑いなさい」
「誰が笑いますかそんな事」
「笑う人は笑うのよ、やーい負け組って。うう、掛葉木君は優しい」
「余り優しい人間には育ってないです、これでも結構中身黒いし酷いし」

その言葉が引き金になったか、キャスケットの下の瞳に再び仄暗さが戻る。

「……今から聞いちゃいけない事聞こうとしてるし」
「聞いちゃいけない事? うーん、余り秘密無い方だけどな私は」

女性の返答に、少年はほんの少しだけ儚い笑みを返し。
元々目深に被っていたキャスケットの鍔を更に下げ、女性に向き直った。

「今日、何の日だか御存知ですか?」
「成瀬君の祥月命日……の他に?」
「ええ、門の前に看板出てた筈ですから」
「う、そこまで見てなかった……」
「寒梅講、というこのお寺の名物行事です。例年より遅い日取りですが」

だから今日は朝から檀家さん大わらわで準備してる筈なんです、と少年は呟き。

「にもかかわらず、此処は余りにも静かで誰もいない……ねえ先生」

女性を見据える黒い瞳が鋭さを帯び始める中、静かに、言い放った。

「此処は“本当の寺の境内”じゃ無いよね? どう考えたって、特殊空間だ」



「境内に沢山いる筈の檀家さんがいない、門の外まで響いてた声さえ聞こえない、
外から見えてた他の墓参り客すら踏み込んだ瞬間何処にも姿が見えない……
それだけでも十分確定出せるけど、何より貴女の存在なんだ、櫻井先生」

目深の帽子は相手に表情を悟らせない為か、あるいは相手の表情を見ない為か。

「幾ら日本が先進技術の国だからって化粧だの美容整形だのの類にも限度がある。
……7年前そのままで登場されたら驚く前に疑いたくもなるさ」

……まだ過ぎた年月に相応の姿なら疑うまでで済んだのに、と。

「それに先生、さっき俺の姿見た瞬間、驚き通り越してぎょっとしてましたよね」
「……ねえ、掛葉木君、さっきから何を言ってるの? 特殊空間とか何とか……
何より偶然再会した大事な教え子の顔見てぎょっとするとかあり得ないじゃない!?」
「ふーん、俺の顔で最初に連想したのは本当に“教え子の掛葉木いちる”?」
「当たり前よ!」
「嘘だ。貴女が最初に思い出したのは俺じゃない。“掛葉木修平先生”だろ」
「!?」
「白状しなよ、教え子の一人に似た“正体見破り仕留めに来た能力者”に見えたって」
「……何を、言ってるの?」
「元から俺の正体だって知ってるだろ? ……そう、そして怜の事も」
「!!?」
「貴女には判別出来るだろ。普通の人間と、俺や怜みたいな“美味しい人間”って奴とが」
「……ねえ、どういう……」
「あの日倒れた俺の傍にいた事で貴女は父さんの判別が出来ず気付かなかった。
それに感付いた父さんに終業式後好機と追跡され魔弾食らいかけたが逃亡、ってとこ?
ああ、逆に父さん見つけて判別して誘い出したはいいが反撃貰って逃亡って事もあるか。
『魔弾掠らせたが逃げられた』としか聞いてないから想像でしかないけど」
「……」
「そうそう、あの事故に関して父さんから興味深いタレコミがふたつ。
容疑者の運転手は事故る前に既に死んでたらしい上に回覧載る程の変質者だった事、
そして事故直前と思われる時刻、事故車のドアから転がり落ちながら逃げた女性の存在と。
コレ目撃証言だけど、櫻井先生に背格好よく似てたってさ……目撃者の父さん曰く」
「……掛葉木君、私は」

相手の反応を、言葉を完膚無く叩き潰さんとするかの如く、“宣告”を吐き捨てる。

「なあ、能力者の怜の血はどんな味だった? 生徒思いで、リリスの、真史、先、生?」


「違う!! “成瀬君を殺した”のは私じゃない!!」

「……“全部”否定すれば、100%の確信には遠かったのに。墓穴掘ったな、真史さん」

「此処まで事実が明るみに出れば全部暴かれるのも時間の問題よ」

「それでもシラ切り通して逃げりゃよかったじゃん」

「ただ逃げたって追われて死ぬだけよ。……口封じは必須でしょ?」


「なるほど、ね。この空間内に能力者はひとり、それもよく知る半人前の子供」


「そう、半人前の子供。7年前と何も変わってない、一人ぼっちの子供」


「……はは、7年前からの件だけはそっくりそのままそっちへ返す」

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