◆凍てし雨夜の霧纏う夢

　　※ ≪注意≫
　　※今夜も４月１日恒例ネタ再びれっつらごーで参ります。
　　※何が起ころうとも一夜の夢です。ええ夢だとも。
　　※連作のＳＳが結局３月中に終わらなかったのに何してんだ的指摘は闇に葬ります。


　　※（……矛盾潰しが暗礁に乗り上げたとかそんな事は決して、ほら、そのorz）

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この世界に数多訪れた来訪者達の中で、その存在が既に口伝と化した種族がある。

――此の世の遥か北の果てに、彼等は在った。


氷雪を自然の城砦と為し今も古の言語のみを用いるという冬神の来訪者、白妖。
淡い青紫の透き通るような髪、淡い銀青の吸い込まれるような瞳。
大人とも子供とも、男とも女ともつかぬ姿形の来訪者。

彼等は冬の護り手。厳しき冬も、暖かな冬も、全て彼等の手に拠りて。
護り手故に己を厳しく戒め、それ故に他の来訪者や人間達との交流は稀であったが、
その幸運を得た者達の記した書物が今となっては彼らを証明する儚い縁。

集落は厄災にて今や滅び、唯一人の忘れ形見が遥か極東の地を彷徨うのみ。
歳を重ねる事も無く、今も子供と見紛う姿で人々の影に在ると言う。



「……約束しておくれ」

老爺は語る。

「真白の外套に真白の帽子、銀煌く雪の装飾、青白く透き通る華奢な錫杖」

それは幾度も幾度も語り継いだ戒め、まるで歌うように言葉を紡ぎ。

「もしそんな子供を見かけても、決してその子に悪戯をしてはいけないよ」


――さもなくば、あの子は。

砕け散りそうな儚ささえ湛えた氷の表情で君の生命をあっという間に吹き消すよ。





……だから、ごらん。

戒めを破ったから、彼奴等はあの氷柱に飲み込まれてしまったんだ。

“Nemo me impune lacessit”

……そうあの子に呟かせたならば、もう救いは無い。





あの子の持つあの錫杖は、ただの錫杖では無いのだよ。
メガリスと呼ばれる、狂おしき運命の渦を運ぶ人ならざる力の品なのだから。
……今やたった一人となった、最後の白妖を護り導く忌まわしき品。





卯月の始まりの夜。

煌々と灯が夜を照らす地、街路樹の梢から喧騒の最中を見下ろして。


身の丈に遥かに余る錫杖を抱えた白妖は、霧雨煙る夜闇の中に溶け込み消えた。




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……という、今年のいちるの四月馬鹿プロフィールネタ。
因みにキャッチにも使ったあの一文は『私を襲えば無事では済まない』。羅語也。

ホストクラブ「JACK」の夜の皇帝氏周辺のネタ併せっぷりに本気でお茶を吹き、
「身体は子供、頭脳は大人」の某名探偵声で台詞が再生された後輩の変貌に和み、
依頼で御一緒した先輩方の凄まじいまでの身体の張りっぷりに驚嘆し、
そしてＴＯＰに妖狐すら登場させた上様の遊び心にニヤリとして。
……イラストレーター頁の併せネタも凄かったなホントに。


さて四月馬鹿も引き伸ばすと面白味欠けるのでさくっと通常仕様に戻してこよう。