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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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……1頁内に収まるかなと希望的観測で執筆してたらこのザマだよ!!
(意訳:容量もとい文字数が膨れ上がって頁分けせねばならぬ羽目になったorz)

全部揃う迄御待たせするのも何なので。
上下編の『上』だけでも先に公開しておきます。『下』は暫く御待ちを。


というかプレイング含め皆様本当にGMに容赦無いよねいつもの事だけどね。



――望む所だ完了済みの覚悟を見せてやるぜ無謀3回目のGM舐めんな!(死亡フラグ)




--------

追い詰められた背中が壁に触れる。
逃げ場は何処にも無い。
見上げた視界を白く埋める、迫り来る影。
木霊す、響く鳴き声。

――頭上を遙か超える巨大な白き異形。

諦め混じりの苦笑いを零し、瞼を閉じる。
最早此の運命享受する他無し、と。

……まあ、巻き込まれても呑み込まれても命の危険無いしね!



事の発端は運命予報士、堤典杏の緊急召集放送。
すわ何事かと集合した能力者達に典杏が告げた内容は、確かにある意味緊急事態だった。
……一般人の命の危険、という意味では、緊急事態。
しかし、何とも“ふかもこもきゅー”な緊急事態でもあった。

実際現地に向かう能力者達に焦りの色見えないし。
そもそも一般人の安全確保に繋がる大事な大事な作戦に名乗りを上げた筈なのに、
むしろこれから巻き起こるだろう事態への期待に目を輝かせてる者までいるし。
確認しますけど一応妖獣対応依頼ですよこれ。
能力者じゃないと真面目に命の危険があるんですよこれ。
一歩間違えたら世界結界にダメージ確定ですよこれ。

……緊張感、皆無。

状況を整理しよう。
此処は某県の一寸山間、縫いぐるみ工場内の倉庫前。
目的は倉庫内の妖獣、総数50匹の平和的撤収。
期限は本日が終わるまで。
因みに従業員は臨時休業で皆お休みだから大丈夫。
だから敷地内に中学生とか高校生とか大学生とかが紛れ込んでも大丈夫。
万が一妖獣達が群れたり鳴いたり迫ったり追っかけ回したり跳ね回ったりしても大丈夫。
……うん、一応は大丈夫。
正真正銘の可愛らしい縫いぐるみ達が全然大丈夫じゃない気はするけど。
巻き添え食らったらいい迷惑だよね彼等にしてみたら。

「――御待ちしてました。遠くまで御疲れ様です」

到着した銀誓館の能力者達を倉庫前で出迎えたのは長身の青年。
180超えの筈の人間より更に頭一つ高い身長。
そしてビジュアル系のバンド活動をしていても何の違和感も無い容貌。

「初めまして。銀誓館高3の小崎颯斗(はやと)と申します。
今回杏さん経由でこの何とも言えない難題を持ち込んだ張本人とも言います」
「……まあ、人によっては難題ですけれど」

ナビゲーターとして能力者達に同行した典杏が苦笑しつつ、颯斗という名の青年の元へ。

「早速ですが颯斗さん、荷物が置けるような場所は近場にありますか?」
「倉庫に近い建物の守衛室を開けてあります。
暖房も入れてあるし僕が番役につくので貴重品も大丈夫かと」
「番役は自分もですね。流石に一般人で倉庫内は危険ですし……見たいのは山々ですが」
「僕も山々ですが受験は捨てられません」

番役のふたりから溜め息ふたつ。
でも輸送前に遠目で見る位なら大丈夫じゃないかな、と典杏に語る颯斗。
先導する彼に従い、能力者達は当座必要の無い荷物を持って歩き出すのだった。



さて、十数分後の倉庫内。
それでは依頼内容をもう一度確認しよう。
件の倉庫内には妖獣、総数50匹が群れて潜伏している。
そして大抵の場合、この数の妖獣をどうにかする方法といえば、『殲滅』か『一掃』。
相手が滅ぼすべきゴーストだからしょうがないとはいえ、何とも物騒な単語群この上ない。

……だが今回ばかりはその単語群を使うわけにもいかなかった。

使おうものなら全方位から刺客に狙われるやもしれず。
まあ、だって、此処にいる妖獣というのは……。

「――いやこれモラ依頼ってレベルじゃねえぞ!」
「すっごいねー。さすがにこの数のモラは初めて見たよ」

影郎の悲鳴もユエの感嘆も致し方無かった。
何故なら総数50匹の妖獣、一切の例外無く全部モーラット。
もう本当になしてここまで群れちゃったし。
これ既に世界結界にいいダメージ入ってんじゃないか?
4~5匹徘徊の時点で相当多いって認識なのに今回その10倍、無傷とは到底思えない。

「……なるべく早急に学園にお越し願わないとな。放置すれば世界結界に優しくないだろうし」

寅靖が口にしたのは能力者としての正しい判断、という理論武装済みの理屈。
だって言葉の割に表情が妖獣依頼とは思えない位に和やかだし。
……まさかモラの群れに埋もれたいとかちらっとでも思ってるんじゃなかろうな?

「杏ちゃんの依頼て……いつも何つーか桁違うやろ何もかも」
「別にいいじゃない、この方向性の桁の違いなら」
「……それ以前に桁で済んでるのかよこれ」

彩晴のもっともな指摘にはたるが何ともない風に返事、いちるは現実を前に大きな溜め息。

「起動! 覆面忍者ルチャ影参上!」

早速影郎がイグニッションで見得を切ってみたものの。

「……締まらないな」

確かに締まらないね。何処までも緊張感皆無だし。
ああ、でも何匹かが今の見得で影郎をターゲットに決めたようだけど。

「野良モラの捕獲依頼は地味に初めてなんだよな、俺」
「先輩に同じくー。余り御縁無いんよねぇモラさんは」
「嘘吐け端から選択肢にない癖に。千鳥くん絡みのカオス芝居には神速特攻してるだろ」
「そーゆーいちはどーなんですかと」
「……悪かったな経験無えよ」

一定年齢以上の男子じゃ足を踏み込み辛い場所に出現、とか普通にあるからね、モラって。
……約一名その辺の許容範囲広い人間が混じってるような気がしないでもないが。

「うん、がんばろー!」
「捕まえるのを?」
「もふるのを!」
「もきゅー!」

どっちも頑張れ御嬢様方。1日しか時間無いからね。


倉庫の入り口の扉は閉めた。シャッターは元から閉まってる。
窓は全部2階以上の高さだし鍵も常時閉まってるって颯斗が言ってた。
照明は入り口で点けたから大丈夫。
……よし、一応逃げられる心配はなさそうだ。
因みに入り口から見て前半分は典杏の話通りさして障害物も無いのだが、
後ろ半分は積まれた段ボールで視界が遮られている。
どうやら箱から出ている縫いぐるみもちらほらと……ああ、まさか、なぁ。

「……先ずは誘き寄せるのが順当か」
「前半分に来てくれると色々楽なんやけどもねぇ……さて何ですかその懐かしいシロモノ」

黒黄柄の養生テープ片手に彩晴が問うた寅靖の手の中には安価な玩具類。
音が出て光って走り回る小さな車とか外見だけは近未来的なピストルとか、等々。

「モルモ、遊ばないでちゃんと俺達の事手伝ってね?」
「もきゅっ」
「いっちにー、さんしー」

赤いマントのお陰でどうやら埋没せずに済みそうなヒーローのモルモにユエが念を押す。
その隣では……準備運動? 一体何をする御心算ですか影郎先輩。

「――49、50。ケージも全部揃ったわね」
「……これ全部一気に運ぶ輸送部隊も大変だよな、考えてみると」

捕獲したモラ達用ケージの山を運び込んだ双子も準備完了。

「流石に在庫もある倉庫内で食べ物で釣るのもどうかと思ってな」
「……あー、なる」

理性が働いたか食べ物持参は自重したらしい寅靖。
だがしかし自重してないのが2名程いるんですよ、実は。
どうせすぐ発覚するから、誰とは、言わないけど。

「それでは始めようか。――準備はいいかな」

仲間達に確認した後、数歩前に出て玩具車のスイッチを入れる寅靖。
電子音とライトの点滅で全力自己主張するそれを床に置くと、8の字を描いて走り出した。

――ざわり。

刹那。倉庫内に数多潜む気配の質が明らかに変わった。

……もきゅ?

……きゅぴー?

……もきゅきゅぴっ!


――作戦開始十数秒後。

「いの一で呑まれるとは無茶しやがりまして……合掌」
「だ、大丈夫ですか渕埼先輩ー!?」

……その瞬間まで寅靖と玩具がいた筈の空間はモラピラミッドと化していた。
しかし現実になっちゃうと本当に現実逃避したくなる位に壮観だよね、50匹って。
そんな目の前の光景に全力ダッシュで接近する影郎。
流石に一寸とんでもない状況を鑑みて犬猿の仲の寅靖を助ける気に……

「――ダーイブ!!」

……なる筈も無かったね。飛び込みたかっただけっぽい。


ぴぴぴぴー、と首に下げていたホイッスルを鳴らす彩晴。
寅靖と影郎を未だに埋めている群れ含め、モラ達の視線が彩晴に一点集中。

「はい注目ー。3分だけ話聞いてー……あ、はたちゃんやっぱ一寸手伝って」

喋りつつテープ貼りは難しいと踏んだか従姉にヘルプ要請。
床と水平方向の空間を仕切る即席境界線……待て、『KEEP OUT』って書いてあるぞ。
本当に何処から手に入れてきたんだ、こんな養生テープ。

「はいこれから皆には鎌倉まで大移動して貰いまーす。
俺等一同鬼ごっこは望むとこやけども捕まったら諦める暴れないケージ脱走しない、
パチパチは相手選んだ方が互いに幸せになる思うが判断はそっちに任す、
皆で人間埋めるんは禁止せんが動かなくなったら退(ど)いたげてマジで死んでまうから、
今引いとるラインの外には絶対に逃げない、はいこの辺ちゃんと守ってなー。
……約束守れない悪い子には最後にクッキーあげませんよと」

クッキーあげないよ発言でモラ群れから一斉に上がる不満の声。
立ち位置的にまるで年中長組の幼稚園児と先生だ。

「だから約束守れん子だけやっつーのー。欲しいならせめてラインの中にいとって下さいと」

あ、妥協案示す振りして一番の遵守事項刷り込んだな先生。モラの知性は幼児並らしいし。
ルール(?)説明と同時進行、モラミッド最下層から救出された21歳男子(スタイル:頑丈)。

「幾らモラ相手だからって……大丈夫ですか先輩」
「本も……いや好都合だ」

……隠しきれなかった本音が聞こえたのは気のせいか。

「やあこんにちは、ふらいどちきんのおじさんだよー」

不意に群れの中から現れたと思ったら口元にモラを当ててサン○ース卿の真似に走る影郎。
パチパチ火花と静電気で色々と逆立ってるままで。
……此処がモラプールで良かった、道頓堀だったら20年は自力脱出不可能だ。

「はい良い子のお約束話終わりー。んじゃ約束ちゃんと守れる子挙手ー」

彩晴先生の問いかけに真剣な表情でぴぴぴっ、と手を挙げるモラ達。御疲れ様である。


「もっとたくさん仲間がいるとこに連れて行ってあげるねー」

全体的な頭数を減らそうと早速ユエがおっとりのんびり風のモラを抱えてケージへと。
勿論、もふもふ具合をパチパチされない程度に堪能するのも忘れずに。
50匹もいると個々の性格の違いも判り易く、暴れん坊から大人しい子まで選り取りみどり。
おや、悪戯っ子の数匹が早速ラインを越えて隠れようとするが――

「もきゅー! きゅきゅぴっ、もきゅきゅきゅー、きゅぴー?」

――其処に立ちはだかる深紅のマント。
正義の味方モーラットヒーロー、モルモがズルは駄目だと同族説得に奔走中。
そんな真面目な面々もいればズルに走る者もいて。
例えば割り箸の先端に塗った水飴に食いついたモラを割り箸ごと差し出す影郎。

「はいモラ綿飴一丁上がり」
「……喉を突かないか心配になってくるんですが」

ケージ前で受け取ったはたる、即行モラから割り箸没収。
もう殆ど舐め終わった後だったらしく抵抗されなかったのが幸い。

「なー、いちさっきの玩具車も1回走らせてみ?」
「……自分でやれ。どうして俺にその役を振る」
「いやいちが埋もれた所を見計らって捕獲しようかと」

出待ち的ズル行為をさらりと言い放つ彩晴。
対しその近くでは抱え上げたモラにパチパチされるも全く動じず捕獲を続行する寅靖の姿。
飼い猫(名前は桜。御嬢様である)に爪を立てられるのが茶飯事らしいが……
もしかしたら、それと同じ感覚なのだろうか。

「こらこら、仕方ない奴だな。捕まったら暴れないと言われただろうに」

もきゅー、と頬を膨らませる腕の中のモラに笑む寅靖。完全に和んでいる模様。

――だがしかし。
――群れるモラの恐怖は突然やって来る。

ただならぬ数多の視線を感じ振り向いたユエの後ろにはモラ集団。
彼等は1匹残らず目をキラキラさせ期待に満ち溢れた眼差しで彼女を見ているぞ!
……あ、何かビッグウェーブになりそうな嫌な予感。

1歩後ずさるユエ。
1歩近付くモラ集団。

数歩後ずさる。
数歩寄って来る。

――さあどうする、ユエ。

「――あ、あっちのお兄ちゃんが鬼ごっこで遊んでくれるって!!」

思い切り指さした先にいたのは、未だに喋っていた彩晴といちる。
突然話を振られ状況が飲み込めない従兄に対し、すわ好機と何かを吹き付けた彩晴。

「!? 何しやがった彩晴っ!」
「実に丁度良いんで盛大に追い掛け回されて下さい頑張れ従兄貴」

従弟の満面の笑みに物凄く物凄く嫌な予感を感じつつ、
しかし謎の液体が降り掛かった部分からふわり漂う香りに首を傾げるいちる。

……何というか彼自身物凄く馴染みのあるというか、製菓工程を思い出すというか……。

しかし思考出来たのもほんの数秒。
怒濤の勢いで迫り来るモラ達に本気で追い回される事数十秒の後。



――漸く一番最初の時間軸に戻る。

つまり壁際に追い詰められて呑まれたのは彼だった、と。
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