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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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(「(すすす、と現れ)……さて何をそんなに凹んでおられるか」)

……凹みたくもなるよ。言わなきゃ良かったと数分前の俺蹴り倒したい。

(「それはそれは。……連日異音しかしないスピーカーから何故か指令があるが」)

……聞くだけ聞くけど。何言ってきた?

(「曰く『桜見に行く時間の無い死人の代わりに花見してきてらっしゃい』とな」)

……いいよ、その位の話なら。俺も桜見たいし。もっと手酷いレベルの話かと思ってた。

(「……では数分前の君は一体何をやらかしたのかと」)


……はたに聖杯戦争の連絡したら『だったら人手は多い方がいいんでしょ?』って。
来るってさ。前倒しで。下手すると明日には鎌倉で顔見る事態にね……。



(「……御愁傷様」)

……揺籠の君絡んだ時点で切れてそうな人間止めるだけでも手一杯なのに……っ。



※月末予定前倒し確定。でもGT行けるかってったら微妙だけどな!
※本当に久し振りにリアイベ当日在宅出来そうなので、何とか双子参戦かなと希望的観測。
※さて花見イベシナも明日には潜り込んで来ないと……。

※あ、菓房に新作置いたり限定品こっそりしてたりしてます。(取って付けた感満載)
--------
※3/20 正式に双姉編入。b75297にてごそごそ準備開始……。
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此処数日、空いた時間でとある部屋の掃除をしている。
店舗家屋の裏にある居住家屋の2階、俺の借りている部屋の向かい。
『何故か部屋多めにしなきゃって思ったんだよな』と言ってた清澄伯父さんの直感か、
それとも透眞伯父さんが遠い昔に見た未来の夢を元に兄へリークした結果なのか、
皆の部屋が集まる2階には誰も使っていない部屋が、まだひとつ。
……勿論3年前は、使われていない部屋はふたつ、あったわけなんだけど。

早ければ今月半ばから、この部屋には新しい主が出来る。
一体誰かなんてのは俺にとっては愚問でしかない。

焔。伸びゆく蔓薔薇。白に焦げ茶の虎縞。
宵闇に昇る月の俺とは対の、真昼に昇る太陽。

「……一体何からすればいいんだろうな。こっち来た日は」

荷物等々の処置は持ち主の彼女に任せるとして、後の事は。
自転車に乗せて周辺回るか、近いキャンパス総当たりしてみるか。
俺の友人な方々は大体彼女だって知ってる(既に夏に逢ってる)わけで……。


……いいや。来た日にその場で考えよう。
向こうのやりたい事聞いた方が外さなくていいような気がしてきた。

……うん、俺はやらなかったけど。
西南西に向かって恵方巻き齧るのは。

いや、だって無言で皆で一方向向いて海苔巻き齧る光景の想像だけで怖い。
元々無言無音の食事自体その雰囲気に耐えられないんだけど。
その代わり西南西方向に豆撒いておいたけど代わりになるんだろうか。
後で室内に撒いた方の豆を年齢の分だけ集めて紙に包んで頭でも撫でておこう。
身体の悪い部分を撫でると祓ってくれるらしいし。
何で頭なのかは余り詮索されたくないけど。……後期中間芳しくなかったからさ……。


……あれ、升に残ってる方から口にする為の豆は年齢に1足すんだったっけ?
白く儚い蛍の代わり。
今の御伴は留まらぬ風。

ほんの少し、又揺らいで変わる。
……本質が揺らぎ続ける水である事だけは、変わらないままだけど。


再び満月に近付き始めた、天頂の白い月。
もう、1ヶ月が過ぎようとしている。

『結局親父の方が一枚上手でしたとさ畜生! つーわけで暫く猫被っとく』


暫く姿を見ないと思ったら届いた簡潔なメール。
……確かに、あの蓮葵伯父さん相手に勝てる人間いるのか見てみたい気はする。

と言う事は今は……四国、か。
南にある割に、余所の予想に反して冬は寒いのだと聞いている。
曰く関東の方が確実に暖かいそうだ。向こうは炬燵も暖房も両方要るらしいから。


……今度はあいつの方が週末帰郷か……一つ荒事が片付いたと思ったら、又一つ。


意識が戻った時、俺の視界には天井が広がっていた。
空気中に薄く漂う消毒薬の臭いと、背中に当たるスプリングの感触。
病院に担ぎ込まれたのでなければ、保健室なんだろう。

……確か俺は、人の目を避けるように、屋上へ繋がる階段の踊り場にいた筈だ。
そして、母さんしか受話器を取らないだろう昼休みを電話に充てた筈で……


「――良かった、起きた。頭とか、痛くないか?」


右側から声がした。
ぶつ切りに聞こえなくもない喋り方。酷くハスキーな、中学生男子にしては高い声。


「……夏来(なつき)」


……はは、何てタイミングで横にいるんだよ。
……携帯を握りしめる。
ずきり、と傷跡は残っても医学的には完治した筈の左足が痛みを齎す。
まやかしの筈の、脈打つような痛み。
偽りの墓地の偽りの怜の墓の前で負った、あの酷い傷の痛み。

――引き返せ、と。

治った筈の足は、時に警告を発するかの様に俺をあの時と同じ痛みで縛る。
俺がもしかしたら心身に多大な負荷を掛けるかもしれない行動や選択を思案する度に、
迂闊に気を抜いていたら絶対叫び出しただろう苛烈な痛みを以て俺を足止めする。

……ならば、今の俺のこの選択は『絶対に間違っちゃいない』。

そう、今迄ならば、見向きもしなかった選択。
決して選ぶ筈が無いのだと、『そう思い込んでいた』選択。
確かに未だに、俺にはその気は無い。
その選択を選ぶ義務も権利も無いのだとされている。
ただ、夏のあの一件の収拾後の一寸した矧の中のゴタゴタを目の当たりにして、
詠唱兵器とは別な意味で俺の振るう『暗器』が欲しくなったというのが正直な感想。
例え、その『暗器』を手に入れる為に無茶苦茶な負荷を強いられるとしても。


昼休みのこの時間、俺と同じ中3のはたが家にいる筈はない。
勿論小学校の教師の父さんがいる筈もない。
不特定多数から掛かってくる電話は嫌いだと固定電話に出ようとしないお祖父ちゃん。
実は家族内で最もアクティブなお祖母ちゃんは彼女の携帯じゃなきゃまず捕まらない。

ならば、今自宅に電話したならば、受話器を取る相手はたった一人しかいない。
そしてまさに、俺はそのたった一人に用がある。

……はたにさえも聞かれたくない、用が。



その一部分だけ雲の掻き消えた夜空を見上げる。

遥か高みにゆるりと坐す黄金色の真円の月。

……十五夜の、月。

届く筈の無いその月に触れようと、その光の端に触れようと手を伸ばした。



一時の平穏を俺の全てに懸ける心算はあろうと、
例えその望みが叶おうとも俺の命で購う心算は毛頭無い。

必ず戻るから。

俺はまだ此処に居たいから。

だから……
遠くで雫の音が聞こえる。
とろとろと漂う意識の中に溶け込むようにひとつ、またひとつ。

……雨が降っているのかな、と漸くはっきりし始めた頭でぼんやり考える。

傷の痛みはもう殆ど感じない。
それでも、酷く緩やかに過ぎていく時間の中で感覚はまだ鈍く。
肌寒いような、涼しいような、どっちつかずの室温。

と、雨がぱらぱらと顔や腕に降りかかって初めて窓が開いたままなのに気がついた。
……そりゃ室温が下がっているわけだ。
教科書にも等しく降りかかるのは御遠慮戴きたいから窓を閉じ、息を吐く。
窓硝子に当たる雨の音を引鉄に又とろとろと意識が揺らいでいく。


……明日ちゃんと目が覚めればいいのだけど。
怪我が治っても中身が付いていかないのは、流石に辛い。
伯父さんに1日中部屋から出て来れない事の口裏合わせは相談済。
それ故の『明日は早朝から出掛けて帰りは深夜になるかも』という、小さな嘘。
どうやら同居の従姉弟達もそれぞれ明日は一日中鎌倉の外へ遊びに行くらしく、
部屋で妙な騒音でも出さない限りは伯母さん達に怪しまれたりはしなさそう。

部屋の中に非常食とお菓子と1分でお湯が沸かせる電気ケトル、
ついでに沸かす元の水のペットボトルや珈琲にココア缶は用意した。
座布団と毛布と目覚まし時計の用意も出来てる。
……お湯入れて30分で食べられる非常食ご飯を試す場に明日を選ぶ辺り、
微妙に自分に危機感無いのかもしれないとかそんな事も考えつつ。

とりあえず、目が痛くなるか眠くなるかするまではもう少しレベル上げ。
MMOの経験はあれど戦闘主体という遊び方が初めてだって事に加えて、
普段試す事の無さそうなアビを使うプリーストの操作だから多少おぼつかない。
昔はたと遊んだMMOは非戦闘職だと戦闘殆どしなくて良かったしなぁ……


……さてと、それなりに準備も出来たから先に始めてよう。
向こうもパソコン片手に外から直接入れる隠し階段から勝手に来るだろうし。
こういう時は本当に部屋に隠し階段仕込んだ伯父さんの遊び心に感謝だ。



――大丈夫。端から負けなんて、最悪の結果なんて考えない。
未来は幾らでも塗り替えられる。
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