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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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――2009.08.28   NIIGATA




「――コノウラミオモイシレ! オマエラナドイノチトヒキカエタコノノロイデシニタエロ!」
「ええい、さっきから何だかんだウダウダ言ってからにじゃかましわこの充血野郎がっ!」

着物姿の地縛霊の叫びの何かに反応したか、銀髪に緋色の散る彩晴が声を荒げる。

「テメェが散々おらぶんは勝手や、だが己の命ほかした奴にゃ絶対同情出来んわ!!」

単語の意味を知る者が此処にいるか否か、郷里言葉が交じる罵倒は偽り無き本心の表れ。
詠唱兵器の要たる回転動力炉の駆動音が前にも増して強く響き出す。
それは彩晴だけではなく、此処にいた全ての者の詠唱兵器が同じ反応を見せていた。
……想いは異なれども、たった一つの今為すべき事の為に。


「残り、4人か。最後の一人のお陰で実感はそれ以上だがな」
「あの着物男以外はさして脅威でも無さげかも……集中攻撃する知恵はあるみたいだけど」
「……それ充分脅威だと思うのは俺だけだろうか、寅靖、いちる」
「全員あの着物男並ってよりは何百倍とマシかなと」

多分残菊が聞きたくなかっただろう一言を又さらりと言い切った中3男子。
何より未だに表情すら戻らない(彩晴命名リミットブレイク)ままでの破壊力は如何程か。

「……とはいえ、生半可な力じゃ倒れてくれないなら結集して叩き潰すまで。
幸い色々外れたのは俺だけだし、江西先輩は今旋剣と白燐のダブル。……そして」

いちるの左手が触れた寅靖の獣爪、龍咆に灯る淡い蛍火の群れ――白燐奏甲。

「露払いは俺が」

言葉にしたのは、ただそれだけ。

「なるほど、その手か……ならば行こうか、唯」
「ああ、やってやろうじゃねぇか寅靖!」

身構える寅靖と唯から離れ、いちるが右手を取り巻き地縛霊の側に向ける。

「……はた、狙うは中央」
「ええ、外さないわ」

表情無き月主と、艶やかに笑む陽主。暁降の嬰児、各々の手に渦巻く力は水と炎。
次の瞬間、何の合図も無かったにも拘らず取り巻き目掛けて迫る青と赤。
水刃手裏剣と炎の魔弾を同時に叩き込まれた中央の地縛霊は呆気無く炎の中に消えた。
役目を終えて霧散する魔炎を切り裂き、着物男目掛けて疾走する影ふたつ。
その姿を認め待ち構えようとする着物男だが、しかし不意に其の身に浮かぶ十字の照準。
何事かと確かめようとする暇さえ与えず照準を貫く弾丸を放ったのは……残菊。
クロストリガーの追尾照準が捉えられたのは2発、それでも地縛霊の判断力を奪うに充分。
完全に虚を突いた形となった地縛霊に唯の影から伸ばされたダークハンドが取り付き、
引き裂こうとする影の腕に抗おうと着物男が身を捩った時には、もう遅く。

――鉤爪の形を為した紅蓮の烈火が、恐ろしいまでの轟音を御供に地縛霊に炸裂した。

同じ全属性エンチャントである上にダブル……重ね掛けが可能な虎紋覚醒と白燐奏甲、
その効果で最大限まで力を引き出した寅靖による現状最大火力を齎す紅蓮撃。
今しがたまで殆ど無傷だった地縛霊を焼き尽くさんとするその炎が威力の最大の証明。
よろりと後退るその姿に先程までの余裕は殆ど見られなくなっていた。
その間にユエとモルモ、一真と理紗が残りの取り巻き地縛霊達の体力を削っていく。
最後の集中攻撃を仕掛けようとした面々に、だが突如地面が揺らぐ幻覚が襲い掛かった。
地縛霊の声無き絶叫が感覚を、思考を掻き回す事で強烈な睡魔を呼び寄せる。
しかも抗えず膝をついた者達から身に纏うエンチャントが次々と外されていく。
地縛霊の足掻きかつ最も凶悪な攻撃をまともに受け意識が暗転しかけたいちるの耳に、
ほんの幽かにだが良く知った声が届いたのと『それ』は一体どちらが先だったか……

……『それ』は容赦無く分け隔て無く空間内全域を爆音と爆風と衝撃とで盛大に蹂躙した。

受けた傷は微々たるものだったが、意識が覚醒すると同時に“原因”へ掴みかかったいちる。

「……てめ粉塵爆発使うとか馬鹿か以前に博打禁止だろ鳥頭もいい加減にしろ彩晴ー!!」
「うわやっといち表情戻った、つかコレしか全員起こせそな手段無かったんだってば!」

異能の力でいつでも何処でも粉塵爆発を狙って起こせるのはゾンビハンターだけ。
だが学園祭バトルロワイヤルが唯一活躍の場と言われる位に実際問題殆ど使い道が無い。
それを敢えて今此処で使った彩晴の無謀癖極まれり……で済む話ではなくなっていた。

一人でも防がれれば体力ほぼ全てと共に消え去る筈の烈風を未だに纏ったままの彩晴。
さっきまでいた筈なのに跡形も無く消え失せている取り巻き地縛霊達。
眠りに落ちていた筈の仲間達も全員しっかり立っている。其処此処に傷はあるものの。

……まさか、本当に、敵味方全員に、粉塵爆発を完璧に被弾させたのかこの少年……!?


結果的に一瞬で足掻きを無に返された地縛霊、貴方は泣く権利を行使していいと思う。
もし第三者がこの戦場にいたとしたらきっとそう思うに違いない。
……いや一応一瞬でも眠った者のエンチャントはしっかり引っ剥がせたんだが、一応は。


時が止まったような感覚に見舞われた空間内、引き戻したのは地縛霊の怨嗟の叫び。
絶対今の状況も怨嗟に加わっただろう声の刃を避け切り一真が風水盤から衝撃波を放つ。
理紗も軽やかな動きで舞う様に武術短棍での一撃を加え、はたるも魔道書で殴りかかる。
先程とは逆に膝をつく形となった地縛霊の頭上から振り下ろされる刃。
楓の青龍刀が肩口から腰までを斜めに切り裂き、残菊の渾身の一振りが首を刎ね飛ばす。
胴より落とされた首が跳ねて地を転がり……そして止まった。


揺らぐ視界。揺らぐ光、揺らぐ色。


その全てが元の姿を取り戻すと共に、能力者達は夜更けのグラウンドに戻ってきていた。





――真夏の夜に齎されたのは、故に、英雄譚。
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