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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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連作第2弾、今回はリアルタイム進行を目標。
出来事の日付とリアル日付を出来る限り近づけるという無謀な試み。



あ、因みに
こっそり募集は継続中とか開き直ってみたりする。




――2009.07.23   NIIGATA


下越地方某市に、小中高一貫教育を売りとする学府がある。
俗に学院と呼ばれる其処は頭も必要だが先立つ物も必要という場所。
結果的にそれなりの(親の)財力と学力を満たした者が集まる場所となっていた。


寄付の賜物か勉学への情熱か、学院の図書館は果てしなく広い。
その一角、集団学習に最適だろう大きな机が並ぶ中に一人の女生徒の姿。
制服の襟元の臙脂色リボンは彼女が付属中に籍を置く者である事を示していたが、
机に展開された種々の書籍はどう少なく見ても大学入試レベルだった。
それも全て、英語。
文章を転記しているのかノートの上で淀み無く走るシャーペン。
綴られるのは達筆な筆記体。
……と、シャーペンはノートを離れ傍のメモ用紙に何事か書き付けかけて止まった。

「……疲れてるのかしら」

メモ用紙に書かれた何事かを目で追い、女生徒は眉根を寄せて息を吐いた。
多少字体のブレはあったが、それでも十分達筆と呼んで差し支えない。

……しかし記されているのが何方かへの痛烈な皮肉(しかも英語)なのは如何に。

「はーちゃん、此処座っていい?」

対面からの声に視線を上げる事無く頷く。この声の主なら構わない。
すると、コツリという音と共に視線の先に何かが置かれる。
ケース入りのミントタブレットだったが、女生徒は怪訝そうな表情で相手を見た。

「丁度欲しかった所だけど……何故未開封品?」
「うちの勘違い女王様がはっちゃけやがった件への心からの詫びです」
「どうして一真君が」
「いや、クラス総出で4組にゴメンナサイしてるんだ。今回はマジ酷過ぎた」

そして目撃者曰く一番の被害者はーちゃんだって聞いたからさ、と。

「もうあの御バカ様クラスから出したらダメだ畜生、マジ碌な事しねぇ!」
「……確かに、面倒な事してくれたとは思ってるけど」
「面倒とかいうレベルじゃ無いだろアレは! ああもう最悪……」

ぐんにょり、という擬音がぴったりな動作で机に突っ伏した相手。
わざわざ自分を探していたのかと思うと居た堪れない気持ちになる女生徒。

女生徒の名前は掛葉木はたる、相手の名は市川一真。共に付属中3年生。
諸々の発端は付属中の伝統である、とある行事の存在だった。


最長12年御世話になる者もいる学院には伝統行事が多過ぎる。
特に節目節目で開催される行事は何処からそんな資金がと思いたくなる時も。
今回発端となった行事もその一つ。
付属中3年の生徒対象、夏休みの終わりの講堂貸切ダンスパーティー。
希望者対象なのだが結局9割方の生徒が集まり食べて踊って夜を過ごす。
その為に夏が近づくにつれパートナー探しに奔走したり準備に明け暮れたりで、
中学3年の教室周辺が喧しくなるのも学院にとっては只の風物詩。

実の所、一真も一真で問題を抱えてはいたが彼女よりはマシだったろう。
はたるの場合、出る出ないは別にどうでも良かったのだが開催期日が悪過ぎた。
パーティー翌日に己の未来を懸けた一大決戦が控えていたからだ。
クラスの実行委員に正直に話すと非難どころか決戦への激励を貰った程の。
……にもかかわらず。


「失礼致しますわ?」

一真が御バカ様、勘違い女王様と呼んだ女が4組に乱入したのは今日の昼休み、
女王様や一真と同じクラスの親友、乾紫野(いぬい しの)に丁度英語を教えていた頃。
さて今日は何しに来やがった……と令嬢系の外見に似つかわしくない感情を抱き、
彼女に関わるより紫野にヒント教える方が遥かに重要だと無視を決め込んだのだが。

「御免あそばせ掛葉木さん、御時間戴いても宜しくて?」

……あろう事か標的は自分か!

「見て分からない? 大事な事だから邪魔しないで」

単刀直入に吐き捨てた。

「伝統のダンスパーティーに貴女が参加しない理由を是非とも御聞かせ願いたいわ」

清々しいまでに人の話聞きゃしない。御バカ様の蔑称も頷ける。

「貴女に何の理由があって話す必要が? というか何様なのよ貴女」
「つか他人のクラスの出欠調査用紙見る権限無いだろお前、ホント何様ですか」
「委員会の方に御願いしたら快く見せて戴けましたわ、私の人徳の高さですわね」

絶対委員会脅しやがったなこの女……援護してくれた実行委員と思わず溜め息。

「翌日のテストに未来懸かってるから。プレテスト名乗る癖に本試に考慮されるし」
「テスト? そんな些細な物で伝統あるパーティーを欠席すると仰るの?」

……他人の夢を何だと思ってるこの御バカ様。
以降色々やりあっていたが一部省略。この辺はまだ可愛い状況だった。本当に。

「もういい加減帰ってくれない? こっちは時間が惜しいの、関わってる暇無いわ」

何度目だろうこの吐き捨て、と遠い目になる。既に御バカ様は視界外だが。

「あはは、テストだの何だの只の言い訳で本当はパートナーに御縁が無いからですわね!」

……もういっそ此処で魔弾ぶちかまして焼いちゃってもいいよね?
そう思う程に怒り通り越して脱力したはたるに代わって激昂したのは何と紫野。

「さっきから聞いていれば、はたるちゃんに失礼よ!! 一人参加の人も沢山いるわ!」
「そーそー、あんたと掛葉木の二択って言われたら即掛葉木誘うね。迷い様が無い」
「別にパートナーが男女って決まって無いしー、男装の掛ちゃんきっと超カッコいいー」
「もし今回パーティー出れてたらパートナー頼みたかったって言ってた奴結構いるぜ?」

方々から何か凄い台詞も聞こえたが援護射撃に間違いは無い。何だろうこの一体感。

「私より掛葉木さんの方がですって!? やはり変人クラスは変人クラスですわ!」

……まさに御バカ様が4組全員(と紫野)を敵に回した瞬間だった。



「……もー4組の人達にはホント申し訳無い。変人じゃねぇよカッコいいよ皆」

突っ伏した一真の呟き。
確かに4組は個性派揃いではある。良い意味で。己の夢に突っ走る開拓者揃いだ。
絵画を極めんと美術教室通いする者、声楽を本気で学ぶ者、書道に邁進する者。
ストリートダンスに興じる者もいればパーティー衣装を自前で作れる者もいる。
皆が皆自分の夢を叶える為に一生懸命だが、仲間の夢も同じ位応援する。
はたるの夢を励ましてくれた実行委員も大人に交じってバンド活動をしていた。
……それ捕まえて変人は無いだろ、変人は。

「あーもう、今からでもいいから俺4組混ざりたい。存分にエジプトを語りたい」
「古代史漬けの人がいた筈だから話が合うかもね。……どうしようかしらホントに」
「結局パートナー同伴で参加させられる羽目になったんだよな……マジゴメンナサイ」
「一真君が謝る必要はないわ。まあ伝手はあるわよ、段階毎に」

ふう、と彼女が息を吐くと開かれた本の頁がひらりと踊った。
あの後自分がパートナーでも構わないと言ってくれたクラスメイトは何人もいた。
けれど、確か皆先約の相手がいた筈だ。迷惑はかけられない。

「それなりな伝手と余り使いたくない伝手と、最終手段にしたい伝手とね」
「その中でいちはどの辺?」
「最終手段」
「……なる。確かにあの御バカ様には激しく逢わせたくないなあ俺としても」
「あんな危険指定可燃物の隣に大事な弟を置くなんて最悪もいいとこよ」
「んじゃ他のは?」
「それなりなのは父さん。別に親がパートナーでもいいし」
「……東小出身者がビビる可能性も捨て切れないが」
「確かにね。余り使いたくないのは従弟、彼に話したらいちにも筒抜けそう」
「ん、そうだ篤輝は? 夏休みならあいつも暇してるだろ」
「既に彼女さんいるでしょ」
「……あー、そーいえばー」
「私の方は私でどうにかするとして……一真君の方はどうなのよ」

話を振られた一真は固まり、何とも言えぬ声と共に再びぐんにょりと突っ伏した。

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