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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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――媚び諂い顔色窺い美辞麗句並べ立て出し抜き腹を探り陥れ陥れられ、仕舞いには。






「うわぁこれ何なんだろ、一体……」
「……黒い巨大な板に見えなくもないが。凄いな、俺より大きい」
「もきゅきゅー?」

鎮座していたのは残菊ですら見上げねばならぬ程の巨大な黒い物体。
少しの空隙も許さんとばかりに床にも天井にも壁にも無数のケーブルが走り、
それらが接続された幾つものコンソールが操る者無しに動作し続けていた。

3両目のドアの先に広がっていたのは、近未来の研究室という表現が一番ぴったりな空間。
件の黒い物体は強化硝子と思しきケースの中で浮遊しながら回転している。
……そして床に無造作に転がっている消火器らしい筒からの地味な違和感不穏な気配。
動作を続けるコンソール群からの鈍い機械音、瞬いては変わる幾つものモニター画面。
空間内をぐるりと廻ってみるが、2両目へと続くドアは何処にも見当たらなかった。

「……やっぱり、この中央の謎の物体が鍵なのかしら」
「嫌な予感もしますから壊さないに越した事は無いのですが……」
「周囲の機械で操作出来るものなのかもしれないが、下手に触れて何か起きてもな……」

物は試しと硝子ケースやコンソールに手加減して攻撃するも、
不可視のバリアーでもあるのか全く手応えが無い。
闇雲に過ぎる時間とこの現状とに頭を抱えたり首を傾げたり思案したりする者あり。

「……木星にゃ行かん、てあんだけ言うたやんか杏ちゃん……アレどー見てもモノリ」
「はいそれ以上言わない。そして死亡フラグを回避したければ反逆しない、ですけどねえ」

……色々と色々と感付いてしまった表情の者あり。正確には彩晴と影郎。

「……さてココの黒幕はHALですかねコレ」
「そう思わせてウルトラバイオレットと友達のコンピューター様かもしれませんよ」
「どっちにしろ面倒極まれりなんは変わらんですか」
「反逆認めないか人間殺すしかないかの違いでしかないですしねえ」

やれやれ、と影郎が首を振った直後。
突如モニターと空間内が赤い警告表示と光で染まった。

『――市民、アナタ方ハ今幸福デスカ?』

奇妙な抑揚の機械音声が空間内に木霊した。

『――質問ニ答エナサイ。市民、今アナタ方ハ幸福デスカ?』

「(……これ以上は黙っときましょうか。口走った後が怖いし)」
「――はは、“勿論疑いようも無く幸福です、コンピューター様”?」

影郎の選択は沈黙。中央へと歩を進める。
彩晴の選択は雄弁。銃口を前方へ上げる。
刹那、ほぼ同時に強化硝子に走った亀裂がふたつ。

――斯くして選択は沈黙にも雄弁にも非ざりし。
速やかなる破壊なりと。


赤色灯と警告音、耳障りな機械音声。
近未来の幻影が寄り集まった空間を支配するは不条理。
……確かに消火器が何故か爆発する云々は典杏の予報でも語られていたが、
機械類に接続されているケーブルから出てくる筈の無い水蒸気が吹き出してくるだの、
コンソールから突然ディスクが回転射出されただけでは済まず空中で爆発するだの、
挙げ句の果てには某マークの付いた箱が空間無視で落下してきては爆発したりする始末。
……某マーク、一般人でもレントゲン室前できっと目にする事の出来る黄色と黒のアレ。
勿論そんな物体が爆発したら普通は怪我で済む筈も無い為性質の悪い悪戯レベルだが、
不条理の強制蓄積が続けば続く程精神的な悪影響も蓄積されていくのは想像に難くない。
しかも今回の場合、下手な事を喋ってしまえば碌な事にならないのも典杏が予報済み。

「(……コノヤロウ……!)」

表情にも言葉にも決して出さず、しかし心中で黒く毒づく雛の心情はきっと全員共通。
ただ狂った機械音声の機嫌さえ損ねなければ殴る蹴る斬る撃つの不自由が無いのが救い。
喋れない分ぶち撒けられない分は全て彼等の攻撃とアビリティの苛烈さが代弁していた。
既に硝子は粉々、物体にも亀裂が走り周辺のコンソールもケーブルも無残な状態。
それでもまだ耳障り神経逆撫での機械音声は止むどころか次第に五月蝿さを増していく。

『――市民、幸福デスカ、幸福デスカ、幸福デスカ? ……幸福デハアリマセンネ?』
「あはははは、“滅相も無い、幸福でない時など一瞬たりとも!”」
「“いいえ、幸福である事は我々の義務です”」

返答にも総力を挙げた人間と事前に対処法を叩き込んだ人間も心中穏やかでは無く。
……後者に一体誰が色々不条理な元ネタ由来の対処法を吹き込んだのか謎だが。
勿論狂気の音声相手だけでは無くしっかりと全力の一撃も謎の黒い物体へと与えている。
鈍い破裂音が響くのと、残菊が振り被った斬馬刀が上3分の1を斬り飛ばすはほぼ同時。
ユエと雛が残った下半分へと決定的な一撃を与え粉砕し、残りは浮遊する中央のみ。
はたるの箒が強かに砕けかけた物体を打った直後、残っていた黒い物体は爆発した。
それが合図だったかのように、全てが崩れて消え……見慣れた車内に戻っていく。

――人間すら楽に弾き飛ばす強烈な振動をも、不意に引き連れて。

バランスを崩し2両目へ続くドアに叩き付けられたはたるが血の滲む肩を押さえ立ち上がる。
それでも進もうと両の手を掛けるが、意に反しドアはぴくりとも動かない。

「……開きなさい。私が約束を破るわけにはいかないんだ……こんな所で……っ!!」

零距離で弾けた炎の魔弾。
吹き飛ぶドア。
指先からひとつ床へと落ちていく、緋の滴。

「私はまだ、足も手も欠けてないわよ……残り2両、死なずに待ってなさい」



――災厄の主が、最後の仲間が待つ先頭車両まで、残り2両。
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