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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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……目が覚めた時、俺が寝かされていたのは離れでは無く自分の部屋のベッドの中。
今までに比べると驚く程軽い身体を起こし、そこで初めて泣いている事に気がついた。

止まらない涙。
ほんの数秒前まで見ていた夢のせい、だろうか。
ぱたぱたと掛け布団に滴が落ち、染みが広がっていく。


「……怜、くなぎ……」


……いつか、逢えるのだろうか。
ふたりは必ず逢いに行くって、言っていたけど。



「――あ、よーやっと目ぇ覚めた? 頭痛いとか気持ち悪いとか無い?」

ひょこ、と入口から覗く銀髪。

「……彩晴」

何故か久し振りに見たような気がする従弟は、尭矧正装の漆黒の装束だった。






--------

「……今、何時? 俺どの位寝てた?」
「えーとな、只今の時刻は15時31分。――1月5日のな」
「……5日?」
「そーよ5日よ。総揃いは一昨日終わって、もう遠方の矧も大体は帰宅済み」

清澄さん達は昨日帰ったし親父達も今日の午前にココ発ったし、と従弟は答えた。

「……そっか、5日か……そんなに身体ボロボロだったのか、俺」
「そりゃ疲労蓄積と累積負傷と栄養失調のトリプルコンボ叩き出せば自ずとそーなるわボケ」
「……栄養、失調?」
「あのなぁいち、何とお前は元日の夜から水以外一切物食ってませんよと」
「……嘘。そう、だっけ?」
「ええそーなんですよ、そーゆーわけなんでとりあえずコレ食え」

ばらららっ、と彩晴の腕から降って来る蜜柑。
暖かな橙色が何故か今は目に眩しい。

「……じゃあ、何でまだその漆黒のままなんだ? 終わったなら普通の服着てても」
「今日親父達帰る前に正式な『尭矧の御話し合い』とやらがあったんよ、着替えんの面倒で」
「御話し合い?」
「まー、ぶっちゃけると伊予尭矧の世代交代って奴。
――正式に母さんが当主、頭になった。んで、俺が頭代行ついでに鎌倉尭矧の主にな」
「……代行は兎も角、何で尭矧増えてるんだよ。迎家(げいけ)含めて7家目じゃないか」
「いや条件はあるよ? 鎌倉尭矧で括れんのは銀誓館に編入した尭矧に限るっていう」
「……銀誓館……つまり、俺達世代の能力者としての尭矧、って事か?」
「そ。もし入りたきゃ一般人でも編入してくりゃOKっつー事でもあるんやけどさ」

近い将来いちとはたちゃんばっかに面倒事押しつけって訳にもいかんやろ? と笑う彩晴。

「つーわけで明日早速迎家に代行として挨拶行くからいちも一緒に来ぃや、と」
「……どうしてそうなる」
「だって迎家にゃ今首座さんとか夏来とか杏ちゃんとか先に行っていち来るの待ってんのに」
「……いや、待ってだからどうしてそんな事に」
「ん? 何で、って迎家は矧の子供の駆け込み寺やで? 子供が迎家行って何が悪いんよ」

……頭が混乱してきた。

迎家は尭矧の第六格家と呼ばれる家。表向きは周囲の自然も魅力の料亭兼旅館。
30年に一度行われる尭矧の格の取り決め会場として五格家を迎え入れるが、
一度敷地に足を踏み入れたら取り決めが終わるまで本業顔負けの監視を行う家でもある。
格決めに不正を一切許さない迎家は、万が一五格家の何れかが消えた時の代理も兼ねる。
そんな立場から伊予尭矧を含め五格家とは多少距離を取っている筈だが……。

「ま、今回の一件は子供が色々キツイ目遭い過ぎたから遅い正月休みに来いって若女将が」
「……あそこ、格式高い所だから先立つ物結構必要じゃなかったっけ……?」
「だから矧の子供の駆け込み寺だってのに金取るかっつの……。全員タダだって」
「……うわぁ」

……何故か明後日の方向に逃避したくなるが、ふと気付いた事が。

「……そういえば、はたは?」
「はたちゃんは図書館。試験のラストスパートやってさ。……此処にいたら気が急くって」
「……要らない気を遣わせちゃったか」
「夜には戻って来るから話があればその時……って忘れてたいち宛の伝言受けてた」
「そういう事は最初に言え!」
「えーと、高澤の家元さんから『7日までに立って歩いて座れるようになったら話がしたい』と」
「……紫苑さんは今何処に?」
「確か宗家の南」
「ありがと、今すぐ行って来るよ。その後で時間が余ったら付き合って欲しい所がある、彩晴」





「――お待たせ、彩晴」
「ん。話ってのは終わったん?」
「終わった。今回の幕は全部引いた。後は最後の心残り済ませて迎家行って鎌倉戻るだけ」
「ふーん。……幕云々は俺が聞いてしまってええ話なんかな」
「頭代行って事は将来伊予尭矧当主って事だよな、彩晴。だったら聞いても大丈夫だろ」
「……それどーゆー基準?」
「尭矧当主の道がある人間が三祷挑む事は金輪際あり得ない、だろ?」
「あ、それは無い。代行やる言うたらもう尭矧五衛の訓練ふっかけられそーなんよもう」
「……まあ頑張れ、としか。それじゃ、時間も無いし急いで行こう」
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