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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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「……あーと、これで荷物全部なん?」
「うん、元々最低限だったし残りは清澄(きよと)伯父さんの家宛にすればいいし」
「ち、その手があったかお前には」
「何なら宛名だけ彩晴にして一緒に送っちゃえば? 伯父さんそういうの頓着しないし」
「幾ら同市在住で近しい親戚やからってあんまりそーゆー迷惑かけんのもなぁ……」
「別に平気だと思うんだけど…… あ、伯父さん? 荷物に彩晴分混ぜてもいいですか?」
「何当然の如く携帯取り出して即清澄さんにコンタクト取っとんのやいちっ!?」

「――大丈夫だって。何なら鎌倉駅待ち合わせで彩晴拾って一緒に家まで持ってくってさ」
「……掛葉木宗家てさ、やっぱ何処か螺子逝ってる人間多くねぇか親父然り清澄さん然り」


……その中に俺とはたをカウントしてるのかどうかで俺の返事は変わるぞ、彩晴。






--------

「で。まだ頭の傷治らんの?」
「一度塞がりかけた傷が三祷奉納で開いちゃったからね。他の傷は全部治ってるけど」

正確には、頭ともう一つ、治っていない傷はある。
左足首のあの傷痕は、変わらないまま。

……あの元日の夜、左足首に巻きついた銀の一筋は現実の産物では無かった。
気付いた時には影も形も無く、傍にいた苑夜ちゃんは全く見ていないって言ってたから。

多分、あれは銀の蛇。
お祖母ちゃんの夢見の中で、雁字搦めの扉を睨んでいた銀の蛇。
……そして今更になって、銀の蛇というものに俺は一つだけ心当たりが浮かぶ。
この傷を生み出した相手の従えていた蛇は……銀、だった。


離れの鍵を掛け、庭伝いに本棟へ向かい広間傍の縁側から室内を覗く。……あ、いた。

「お祖父ちゃーん、離れの鍵返す」
「……鍵を投げるな鍵を」
「取れる相手選んで投げてるし」
「虫食いが埋まってから逆に幼児化したような気がするぞ」
「不相応に年食うよりマシでしょ。……ああ、それと」

そこで一度、言葉を切る。

「……もう、大丈夫だから。一昨年まで手間かけさせてゴメンね」
「さて何の事かな」
「うわーそう来るかお祖父ちゃん……分かった、そういう事にしとくよ」

何の事だととぼけた割に、何か確実に隠してるような悪戯っぽい笑みを浮かべる宗主。
……まあ、通じたようだしこれ以上の言葉は要らないか。

「それじゃ、鎌倉へ戻ります。来月末には又とんぼ返りだけどね」
「んじゃなー、爺ちゃん。俺が次こっち来んのはいつになるか分からんけどー」
「ああ、2人とも気をつけて行け。一応命だけは惜しんでくれよ、爺の戯言だが」



正月三が日の過ぎた平日とはいえ、まだ新潟駅には休み気分も漂っている。
この時間で子供の姿が多いのはまだ学生は冬休みだから、だけど。

「いちー、彩晴ー。今日帰りだって?」
「……どうして一真とマウが此処にいる」
「あ、俺がメールした」

……コノヤロ。

「ん、何かすっきりした顔してんな。正月の儀礼御苦労さん、大変だったんだって?」
「……大変というか何というか……まあ、全部終わったよ。暫くは何もないと思う」
「そっか。あ、ちゃんと2月28日にはちゃんとこっち来いよ」
「忘れる訳無いだろ、今迄その日に毎年こっち来てた人間に何を言うか。……あ、それと」

コートのポケットを探り、見つけた『それ』を一真に投げ渡す。

「……今度は1ヶ月でぶっ千切るなよ。8年願い込めてた千奈ちゃん見習え」
「へ? うわ、スゲー! 革紐編みと石と、って石に猫彫ってある何これ超豪華じゃん!」
「普通の紐とか刺繍糸とかじゃ昔の二の舞になりそうだったしさ」
「ひ、酷ぇ!? 確かにあの時は手の甲擦りむいて治療の時消毒液かけちまったけどさぁ」
「やっぱりな……無駄にクオリティ上げておいたから切れる方が勿体無くなるかもね」
「それは新手の嫌がらせか」
「嫌がらせ以外の何物でも無いかもな。マウ、一寸おいで」

てととっ、と寄って来たマウの羽根帽子を取り上げ、ぱちりと金具を止めて返した。
きょとんとした顔をして手の中で帽子を回したマウが変化を見つけ、にぃにぃと飛び跳ねる。

「どーしたマウ……って何これ! 俺のより気合入ってんじゃん、いーなー羨ましー」
「そりゃ直営アトリエで原板彫刻と研磨頼んだからな。そこから先は俺が加工したけど」
「ちょ、アトリエって“CQ2”のか!? ……お前あそこの人等に可愛がられ過ぎ」
「その分財布の中身は軽くなりっぱなしだよ……」

紋章のように風水盤とレイピアを中央に据えた八角形のピンズ。マウの為の、御守り。

「そんな事より……お前受験勉強はどうしたんだよ大丈夫なのか?」
「あー、そんな物あったねー。大丈夫よ俺は元々成績いい方だし、学院は既に高校分野だし」
「……ど、こ、が、だ。お前小学校時代理科の成績半端無く乱高下してたじゃないか」
「少しはマシになったってば! そーでなきゃ高等部選抜クラスの打診来ねぇよ!」
「その打診蹴っ飛ばして銀誓館来る選択が正しいのかどうかはお前次第だけどな……」
「やーかまーしわー。理紗と一緒に鎌倉行くって決めたのは俺自身だ」
「あー、美人さんの呼称が親しいものに変わっとるやーん。なーに色々進展したん?」
「はぅあ!?」

……やれやれ。一真周辺だけ一足先に春か。



「……ん。どした、いち?」
「はたからメール。……ち、もう見つかったか」
「ほー。何か仕込んどったん?」
「一応ね。ほら」

『3年前の意趣返し、確かに受け取ったわ。……いちに言われるのが一番堪えるわね』

「……意趣返し、て何したん」
「ペンダントを贈っただけ。……唯一品の限定モデルには銘彫ってあるんだけどさ、金具に」

流れていく風景を横目に首からチョーカーを外し、裏返した。
石受けの金具に彫り込まれた銘を指で示す。

「『jacta alea est』……『賽は投げられた』。だから立ち止まらず、走れ。はたからの、苦言」

元々革と石の色味だけで欲しかった限定物だったから、銘の存在も意味も知らなかった。
だけど……あの双姉だ。その銘も意味も深く理解した上で、俺に渡したに違いない。
今度は、俺の番だ。

「……もう迷うな、ってね。そう解釈した銘の唯一品ペンダントを、史上最強の御姉様に」
「その意趣返しのせいで史上最強に拍車掛かってもたらどーすんのや……」
「ああ、元々勝てる気しないし平気」
「……やっぱ宗家の人間螺子何処か逝っとるわ。マトモなんネイばーちゃんだけや……」
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