＠朧げな言の葉の幻

【SWALLOW EDGE】

　　＞【半実体の見た目からして奇妙な携帯】

　　　　＞【とりあえず開く】

　　　　　　＞【何故か吸い込まれた】

　　　　　　　　＞※WARNING AREA……?※

--------
【此処は何処だ】

単なるネタ置き場。別名脳内ネタ棚卸会場。
脳内で組み上がったネタを外部に放り出してデフラグする為の手段行使の場とも言う。
結社シナとか偽シナとか無謀企画とかする時間と気力が無いとも言うがorz
既知の方で「結社シナするからこのネタ寄越せ」等ありましたらいちる宛のお手紙にて。
むしろベースになるなら幾らでも持ってって下さった方が本望かもしれない。


【ネタ置き場】

　　＞【地縛霊ボス想定（強敵に挑め系？）】

≪祭り囃子の忘れもの≫　※10/03/04

――それは、とある街に伝わる奇妙で切ない物語。

不治の難病でずっとずっと病院にいる筈の少年が神社の夏祭りに現れる。
その街のある地方に伝わる少し変わった盆踊りを斜がけお面と浴衣姿で踊る少年。
見つけたクラスメイト達の反応も様々で。
元気になったと喜ぶ者あり、病院抜け出したのかと怒る者あり、無言を貫く者あり。
一緒に盆踊りに興じていると不意にクラスメイトの浴衣姿の少女に腕を引かれる少年。
出店で玩具の指輪を二つ買った少女は、同じ虹色の片方を少年に手渡した。

ちゃんと元気になったら一緒にお祭りに行こう、約束だから、と。

さて他の皆と出店巡りをしていた筈なのに、いつの間にか少年の姿は消えていて。
それに気づいて会場中を探す面々の中、無言を貫いていたクラスメイトは、ぽつり、零す。

……あいつはもう末期でベッドから起き上がる事も出来ない筈なのに。どうして。

声を失う面々の頭上、次々に花開く焔の大輪。
そしてそれとほぼ同刻、病院の一室には機械に繋がれた少年の姿。
波形を描く筈の映像は……つい今しがたから、一条の線を、送り出すのみで。
力を失って垂れ下がる腕、弛んだ手から零れ落ちた小さな何か。

玩具の指輪。約束の片割れ。

何故病院にいた筈の少年が指輪を手にしていたのか、何故夏祭りに現れたのか。
それは今でも分からない。

――其処までで終わっていたら、奇妙で切ない物語のままだったのに。

不意に迷い込んだのは祭り囃子の響く神社の境内、出店の並ぶ参道。
斜がけお面と浴衣姿に無数の管と太く錆び付いた鎖が絡みつく細い少年が、嘆く。

……指輪が見つからない、約束が守れない……と。

しかし、例えこの境内の中で指輪を見つけ出して返せたとしても、現実は変わらない。
指輪を隠し持っていたのはお前なのかと、脈絡無き思考で憎悪を向けるだけで。

どうか、彼を繋ぎ止める鎖の破壊を。
この世を去って後も約束に縛られ、終えられぬ祭りを彷徨う魂に、安息を。

※インスパイヤ元：DE DE MOUSE "last boy dance"とこの曲のライナーノート



≪神様のまがい物、子供のまがい物、伝承のまがい物≫　※09/11/18　元記事

雪に覆われた山の街。
この地には子供の姿をした神様がいるのだという昔語りが未だに息づく街。
そんな街に、子供の神様が１年に一度だけ山を下りて遊びに来るという祭りがある。
雪の降る真冬に、山の街で生きる子供の健康を祈り祝う祭り。

そんな祭りに興味が湧いて、参加しようと雪の舞う山道を登る面々。
この山道を登り切ったら眼下に街が見渡せる、あと少しで街に着く……筈だったのに。
突如視界を埋めたのは、彼岸花咲き乱れる晩夏の平原。
特殊空間としか思えない赤い花の海に、鎖巻き付く子供の姿の何かが、ふたり。

骨だけになった提灯に禍々しい色の蛍を宿した、振り袖姿に小面の少女。
巨大にも程がある黒い槍を事も無げに背負った、狩衣姿に翁面の少年。

振り袖姿の少女は、迷う子供の魂を蛍と共に安息へと導く案内人の神様。
狩衣姿の少年は、黒槍で悪事を働く者等を懲らしめ子供達を護る守護の神様。
本当の昔語りなら子供の味方の、子供の姿の神様。

だけれど、鎖が巻き付くあのふたりは、神様ではありえない。

神様のまがい物。
子供のまがい物。
伝承のまがい物。

……故に、迷い込んでしまえば子供すら殺す、禍津のモノ――ゴースト。地縛霊。

どうか、繋ぎ止められた彼等に永久の安息を。
この街が紡いで来た伝承を汚すモノ等への、引導を。