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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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――2009.08.25   NIIGATA



「……眠い、マジ眠い。なぁ、夜行てこんなに厳しい乗り物やったっけ……?」
「そりゃ学園チャーターのバスとは違うからな」
「なぁ何でいちそんなに元気なんよ……」
「慣れてるし。寝てれば着くし」
「……いや、その理屈おかしい」
「おかしいも何もそうとしか言いようが無い。次は路線に乗換だぞ彩晴」
「ま、まだ乗るん……?」
「……少し休むか? とはいえコーヒースタンドも7時まで待つ必要があるけど」
「ほ、他に座れる所は?」
「少し歩けばファーストフードの店が。バスセンタービルの向かいに」
「構いません御願いします揺れない椅子に座らせて下さい」
「はいはい……俺は何とも無いのになあ。やっぱり慣れか?」

晩夏の早朝。
バスセンタービルから普通の足取りで出て来たいちると、既に疲労困憊の彩晴。
勿論遊びに来たわけでは無い為、互いに荷物は最低限だけ。
その最低限すら引き摺る勢いの従弟からバッグを奪って歩き出す。
……飛行機か新幹線の方が良かったんだろうかと今更考えつつ、涼しい風の先を見る。

「彩晴、早く来ないと流石に轢かれるぞ」
「……へーい」

結局、彩晴がそれなりに復活したのは店内で1時間以上過ぎてからだった。
バスセンターへ戻り、実家を目指したのはそれから暫く後。


「お帰りなさい、いち。久し振りね、彩(あや)君」
「……待ち構えてたなその格好は」
「へーいお久しゅうに。はたちゃんが正装してんの初めて見たかも」
「そりゃ滅多にこの装束着る機会なんて無いもの」
「……だからってまさに今着るか今?」

曙の光で染めたような珊瑚色を基調とした単衣に緋色の袴。
暁降陽主の正装姿で出迎えた姉に眉根を寄せる弟と何の変わりもない従弟。

「……これはあれか、俺も月主装束着ろってか」
「その辺はいちの好きにすればいいと思うけど」
「はたちゃん質問、俺も着替えるべき?」
「彩君まさか正装持ってきたの?」
「手持ちにゃ無いけどこっち行くってだけは家に伝えた」
「……だから愛媛から彩君宛の荷物が届いたわけね」
「あーやっぱり予想通りや親父。そのまま名代として宗家に挨拶さす気やな畜生」
「……正装確定だな、それは」


1時間後。
そう広くもない敷地の離れに正装姿の人影3つ。
――陽主の珊瑚、月主の濃藍、尭矧の漆黒。

「……これで宍矧の黄檗(きはだ)がいれば完璧だったわね」
「流石にこれ以上要らんて。肩凝る」
「正装が居心地悪いなら脱げばいいだろ」
「着替えんのが面倒」

彩晴による宗家への挨拶はとうに済み、本題の迎撃打ち合わせに雪崩れ込んだ面々。
その挨拶自体、端から全く違う方向へと捻じ曲がってはいたが。
……甚平姿の宗主もとい祖父と正装姿の孫3人で朝から座卓囲んでの高級アイス品評会。
それは正月の総揃いでも無ければ面倒な作法なぞ邪魔だと言い切る祖父故の心遣い。

「……で、結局中に手は回せたのか?」
「ええ、完璧よ。仕掛けの準備も終わって隠し込んであるし、経路もちゃんと割り出したわ」
「うわ凄ぇ、やっぱ内通者がいると工作も楽やねぇ」
「協力者と言って欲しいわね。命が懸かってるもの、必死にもなるわ」
「自分達だけじゃ無い上に一般人百人単位だからな……」
「まー、コレで不真面目にやってて泣き見るのは漏れ無く全員やからね。例外は無いし」
「後は一度現地の覗き見に行く位か。グラウンド周辺の確認、出来れば夕方以降に」
「そうね、夕方になれば一般人の数が減るから目敏い人以外は避けられるかも」
「暗さの確認やっけ、確か。照明足りなさそうなら用意要るしねぇ」
「それと彩晴のマグライトが何処まで使えるかとな。実際の距離同士でやってみないと」
「結構強烈な光やから何とかなるんやないかなぁとは思っとるけど」
「思うだけじゃ足りないから確かめるしか」
「へい了解。……さてはたちゃん、気になってたんやけど何でココなん?」
「何が此処って?」
「いや、この程度なら別に母屋でも良くね?と」
「来客があるからよ。……こっそりとね」

思わせぶりなはたるの言葉に怪訝そうな顔をした彩晴と、薄々感付いた表情のいちる。
直後、こつこつとガラス戸を叩く音が。

「噂をすれば、ね。――どうぞ、鍵は開いてるわ」
「おはよーすはーちゃ……て何で居るんだよいち!? いつ湧いた!!?」
「今朝方から湧いてたよ悪かったな、というか開口一番それかよ一真」
「そんだけ吃驚したんだよ畜生。……何か髪の毛短くね? それにメガネとか」
「まだ殆ど伊達に近い。少しだけ度が入ってるけど進行しないように策は取ってる」
「……そーかい」
「えと、あの、おはようございます掛葉木さん。……あの、こちらの方々は?」
「理紗さんとは初めましてになるかしらね。双子の弟のいちると、従弟の彩晴君よ」
「こんなけったいな格好で御挨拶も何なんやけども、初めまして宜しくなー」
「初めまして、いちるです。……姉が本当に御迷惑をお掛けしてそうで色々心配だけど」
「いえ、そんな事ありません! 私の方こそ色々と御迷惑を」
「ちょ、はーちゃん俺もそっちの従弟さんとは初めましてだっつの!」
「あらそうだったっけ。彩君、私といちの同期生の一真君よ」
「初めまして、尭矧彩晴やよ。どう見ても外人やろけど先祖帰りの立派な日本人さね」
「マジかよ!? ……悪ぃ、言われるまで真面目にハーフだと思ってた」
「ははー、名前の誤読含めて良く言われる事やから気にしてへんよ大丈夫」
「従兄姉の俺達すら言われるまで疑ってたレベルだから気にするな一真。……さて、と」

袴の裾を捌いて座り直したいちるが眼鏡を外しつつ双姉を見遣る。

「……さっきの話の詳細が聞けるって解釈でいいのかな、はた」
「ええ、その心算。あの電話の後からずっと午前中はこうして集まってたのよ」

だからわざわざ離れを使ってたの、と。


「――さあ、今日で残り3日。“5人で”出来得る事全ての準備と作戦を組み立てましょう」
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