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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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――2009.08.28   NIIGATA



「……うわ。一体何処のセレブかと思った」
「うちはセレブでも何でも無いわよ、只の旧家だから」
「嘘吐けはーちゃん、貴女の家は充分裕福の範疇だってば」

黒の漢服姿で周囲から視線を集める一真でさえ一瞬言葉が出なくなる位に、
4組の総力を挙げてドレスアップしたはたるの姿は注目の的。
彼女の他にも4組の面々は総じて仮装なり何なりに力の入った出来ではあったが、
あの御バカ様への復讐と銘打たれて準備された結果である彼女の姿は段違いだった。

「……つか4組さ、はーちゃん以外にも個別に復讐に走ってるのいない?」
「さあ、何の事かしら」
「とぼけるのは止めようか、完全に追い込み体勢入ってる奴何人か見たぞ」
「私は何も知らないわ?」
「……そうですか、知りませんか」

まあ知っていても喋る彼女ではないし、そもそもそれどころでは無かった此処数日。
4組の仕込んだ一番のサプライズに関しては結果として自分も大きく関わっているだけに、
あまり強く出られない一真。
やれやれと頭を振る彼の後ろから、地味に緩やかに漂ってくる嫌な気配。
……ああやっぱり来やがったか、と令嬢に相応しくない感情を抱いても顔に出す事はせず。

「あら掛葉木さん御免あそばせ、てっきり御欠席されると思ってましたわ」
「来いと言ったのは他ならぬ貴女よ。鳥頭も大概で御願いしたいわ」
「……はーちゃん、その格好でその言い方止めて」

……逃げたくても逃げられない状況下に叩き落とされた一真の嘆きは天に届くのだろうか。

「あら、でも市川さんの御相手はあの七宮寺さんでしょ? 貴女の御相手はどちらかしら?」
「そういう貴女のパートナーの姿が見えないようだけど?」
「見て御分かりになりませんこと? 私の後ろに沢山控えていますわ」
「……あー、あれか」

……絶対あの数人は違う、絶対何か狙ってる、だって4組じゃんあいつ等、と心で呟く一真。

「そう、数で誇ろうなんて浅過ぎる底が見えるわね」
「口では何とでも言えますわ、さあ貴女の御相手を紹介して戴こうかしら?」
「……まあ、いいけど」


「……着飾った姿で其処まで普段通り口が立つ理由がさっぱり俺には分からねえ」


一寸位彩晴みたいに猫被れ、と幽かに棘の混じった声がはたるの背後から響いた。

……一見黒のタキシード姿だが正装であるブラックタイを付けずに襟元を着崩してあり、
革ベルトにスクエア青石をあしらったチョーカーが意外と雰囲気を壊さずに調和している。
華奢な印象の銀青フレーム眼鏡、焦げ茶の髪は軽くオールバックに梳かしつけられ、
何より当事者達より頭一つ分高い身長がこの空間では最大の武器と化した、謎の青年。

「……凄ぇ。あの童顔どうやって整形したんだお前」
「顔を弄った記憶は一切無い。……悪い、着替えに手間取った」
「あら、最高のタイミングよ。てっきり狙ってたのかと」
「こんな疲れるシチュエーションなんか狙ってたまるか。……行くぞ、一真」
「りょーかい。はーちゃん前行こうぜ前!」
「そうね、行きましょ。……それじゃ、失礼するわ?」


……謎も何も、着替えただけで気分的に半分重傷の、いちる。

「そういえば、あの人眼中に無かったのは敢えての事? それとも偶然?」
「……何の事だ?」
「は? ……いち、お前まさかあの状況見えてなかったのか!?」
「……何の事やらさっぱり。はたの歯に衣着せない物言いだけ聞こえたから寄っただけ」
「ちょ、つー事は真の意味でガン無視かましたのかよいち!!」
「……え。誰か、他にいたの?」
「いたわよ、物凄く御バカで勘違いも甚だしい御嬢様が。まあこれだけでスッキリしたけど」
「……うわぁ。その人に悪い事したかも」
「いや大丈夫、偶然とはいえあれは超グッジョブだったから!」

全然周囲が見えていなかった事に愕然として口元を押さえるいちるに一真がフォロー。
……どうやら愕然としているのはあの御バカ様も同じみたいだったが。
さてあの謎の高身長青年がはたるの双子の弟だと知ったらどんな言動に出る事やら……。

「……で、まだ始まってないよな?」
「ん、今から今から!」
「ちゃんと間に合ってるわ。……色々、此処から始まりよ」

色々、を強調させて呟きながら壇上を見遣るはたる。
其処には白いチャイナドレス姿の少女が、マイク片手に現れたところだった。
会場内の照明が一斉に絞られ、スポットライトを浴びる少女の周囲だけが白く輝く。

「お集まりの皆様、大変長らく御待たせ致しました!」

彼女の言葉に、講堂内を満たす空気が一気に熱を帯びる。
司会進行役の少女――理紗の姿に心を射抜かれた男子の歓声がそこかしこで聞こえる。
何せ司会が学年中最も有名である理紗である事は今の今まで伏せられていた事実、
このサプライズだけでも講堂内の人間をパーティー“だけ”に向けさせるには効果的だった。
……その光景に複雑な表情を浮かべた一真と、一真を見ないふりに徹した双子。

「学院付属中伝統の夏の夜の宴――ダンスパーティーをこれより開会致します!!」
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