◆真夏夜に舞えGhost Dance!! -calling-

――2009.08.19　　　KAMAKURA

――電話？

おや、この番号は月主殿。
……もしもし、宍矧典杏です。どうかなさいましたか？

『……典杏？』

ええ、運命予報士宍矧典杏です。又は宍矧首座連所属末席典杏ですが。

『……肩と腹撃ち抜かれた、左腕いかれた、臨海学校で』

……今、何て。

『意識がはっきりした時にはもう包帯だらけだった』

確か、一番危険な海底へ行くとか仰ってましたよね。……まさか。

『……まあ、そのまさか』

……ええと確認させて下さいね。元通り動けるようになるまで５日、でしたよね？

『……ああ』

良かった。向こうへ行く時には本調子で行けますね。

『……殺される』

……今何て言いましたか月主殿。

『……ヤバイ……多分バレてる……はたに殺される』

バレてる、ってまだ陽主殿には一切何も話して無いんでしょうに。
何をそんなに怯える必要があるんですか一体。

『……互いに怪我すると“分かる”……から……きっと、今日……』

……ええと、もしかしてそれ俗に言う双子同士の感応力って奴ですか？

『しかも……今日携帯ずっと切ってて……今、それに、気付いて』

うわぁ、それは色々と拙い方向に重なったんじゃ……。

『……典杏……新潟から戻らなかったら……骨、拾ってくれる？』

……それは自分よりも尭矧当代一格衆に頼むべきなんじゃないかと思いますが。
彩晴殿と一緒に行かれるのでしょう、向こうへ？

『……――』

……あの、月主殿？　掛葉木先輩？！
いやちょっと何でこのタイミングで電話切れるんですか月主殿！！？