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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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  ※ ≪注意≫
  ※以降、遂に4度目だぞいい加減ネタ尽きろよ的4月1日ネタにて候。
  ※何が起ころうとも一夜の夢です。夢以外の何物でも無く。
  ※今回からは公式に双姉も巻き込んだ末、双子で紡ぎ織る夢と相成りまして候。


  ※(……流石に今年位は自重しやがれという突っ込みは忌憚無く願いますればorz)








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『それはたった1日の間だけ辿り着ける、不思議な町の童話。』

――森と海にかこまれた、カマクラという名の小さな町。
半分どうぶつで半分ひと、そんな住人たちの町。
森の中でくらす住人もいれば、海のそばでくらす住人もいて。
もちろん町の中でくらす住人もたくさんいるのです。

そして、この町には大事なお祭りの日があるのです。
それは4月のさいしょの日。
“春告げの祭り”とよばれるこのお祭りは、その日がさよならするまでずっとつづきます。
お日さまがおはようとあいさつし、お月さまがおやすみなさいとあいさつするまで、ずっと。
それだけ、大事な大事なお祭りなのです。


――さあ、たった1日の間だけれど、カマクラの町のお祭りをのぞいてみませんか?



いまだうす暗い森の中。
リスのしっぽと耳を生やし毛布の中で丸まっていた男の子の目がぱちり、とひらきました。
さいしょはほんの少しぼんやりとしていましたが、すぐに飛び起きて。
そばの椅子にかけてあった上着を取ると、羽織って外へとかけ出して行きました。

「……ちゃんと晴れるかな、きょう」

まだ暗くてお星さまがちらちらまたたいている空を、見上げて。
今日は4月のさいしょの日。“春告げの祭り”の、大事な大事な祭りの日。

家にもどって着がえて、くるみのパンを食べながら鞄の中身をしっかり確認して。
たったひとりの番人だから、間違えても忘れものをしてもいけないのです。
男の子はこの森じゅうの木の実や薬草を集めてある長老樹の、たったひとりの番人。
町じゅうのお店に木の実や薬草を届けに行くのが、お仕事なのです。
しかも今日はお祭りのお菓子や料理に使う木の実をたくさん届けなければなりません。
届けるにもたったひとりですから、急がなければお店にめいわくがかかってしまいます。

「――いそがなきゃ。お祭りに間に合わなくなっちゃう」

鞄をたすきがけにして、帽子をかぶって。
長老樹のとなりにある家を出て、男の子は町への道を走りだしたのでした。
――遠く遠く、海の方かららっぱの音が聞こえてきました。


海の向こうから、お日さまがおはようと顔を出しました。
朝早くから港の高台にすわってお日さまを待っていた子どもが立ちあがりました。
白にこげ茶のしましまが入ったネコの耳としっぽを生やした、女の子でした。
女の子はくるりと町の方をふり返り、ぴかぴかに光る金色の物を箱からとり出して。
それは、赤いひもを結んだらっぱでした。

毎日お日さまがおはようと海から顔を出したら、らっぱを吹くのが彼女のお仕事です。
町に住む、カマクラに住むたくさんの人たちに朝を知らせる大事なお仕事です。
今日は大事なお祭りの日。“春告げの祭り”の、4月さいしょの日。
そんな日のお日さまを、春の始まりを告げるお日さまをさいしょに見たのは、
いつもの通り、彼女なのでした。
――やさしい朝の海のしおかぜが、彼女の吹くらっぱの音を町じゅうに届けて行きました。


お祭りの日だからか、朝告げのらっぱを待たずに町は動きだしていました。
町じゅうのお店に木の実を届けて走りまわっていたリスに声をかけたのは、港にいたネコ。

「さすがに今日は早いのね」
「……年に1度の祭りを何だと思ってるんだよ、というかおれは毎日朝早いから」

たがいに小さいころから知っている、くされえんのリスとネコ。
同じ日に生まれた同いどし。

「配達が終わったら“もみのきや”にいらっしゃい。お手伝いがほしいのですって」
「かけこみの配達が終わったらな。さっきからユキツバメがメモ持ってきてばっかだ」

ほんの少しつかれ気味のリスがそう返す間にも、彼の頭の上を飛んでいる銀色のツバメ。
確かにメモをくわえています。それも、いちまいではなくなんまいも。

「……余分も考えて持って来てたはずなのに。一度“おじいちゃん”まで戻らなきゃ……」
「おじいちゃん、ね。確かにカマクラで一番長い時を生きている方ですものね」

またあとで、と手を振ってリスは森への道を急いで戻って行きました。
番人となる前から森の中に住んでいたリスにとって、長老樹は“おじいちゃん”なのです。


「……?」

彼が“おじいちゃん”と呼ぶ長老樹まで戻ってきたリスは、しかし小さく首をかしげました。
今日は4月のさいしょの日。
“春告げの祭り”の日は、春の始まりの日。今日からカマクラはすべて春になる日。

でも。
ほんの少し、森の中はひんやりしているような気がしました。
……ずっと走って来たからそのぶん風が冷たく感じるだけだと、そうリスは考えて。
急いで木の実をたくさんたくさん鞄に詰め込んで、また町への道を引き返して行きました。



町のいちばん中心にある“もみのきや”はおいしい料理とお菓子のお店でした。
お祭りの料理とお菓子をたくさん作るお店でもあるので、人手は多いほどいいのです。
何とか配達を終えたリスもくされえんのネコに言われた通り、お店にやってきました。
入口から中をのぞくと、ぱたぱたと走りまわっているたくさんの人。
イヌやキツネ、ウサギやオオカミにネズミやヒツジ……町の人がたくさん、たくさん。
気配に気づいたのか、くされえんのネコがかけ寄ってきました。

「配達、終わったの?」
「何とか、ね。……気になる事もあるけど」

町も海もぽかぽかな春の空気。花が咲いて、風もお日さまもあたたかくて。
……やっぱり、春なのにあの森だけはほんの少し、ひんやりしているような気がしました。

「……まあそれは後でいいや。何の人手が足りない? 必要なところに行くよ」
「広場へ料理やお菓子を運びたいのだけれど、そちらを手伝ってあげてくれるかしら?」
「わかった。出来てるのは……ああ、かごの中のだね。このまま持っていこう」


広場には大きな炎のやぐらが組まれ、それを囲むように色とりどりのテーブルが並んで。
たくさんの花が飾られて、おめかしした子どもたちがたくさん、たくさん。
まだほわほわとゆげが立つ料理を並べては戻り、戻っては並べてのくりかえし。
あのやぐらに炎がともるのは、お日さまがさよならを告げて森の向こうへしずんでから。
代わってお月さまがこんばんはと海からやって来てからです。

ふわり、とそばを通りすぎていった風に気づいたリスは、でもまた首をかしげました。
その風だけはあの森の中の風と同じで……ほんの少しだけ、ひんやりしていたのです。
春だらけの広場に吹く風なのに、ひんやりと。
でも……その風に気づいていたのは、リスだけ。森に住み森から来た彼だけでした。


お昼ごはんの時間から始まった春告げの祭り。
子どもたちが輪を作って踊り、楽団がにぎやかに楽しい曲をたくさん奏でて。
おいしい料理とお菓子が広場に集まったたくさんの人たちにふるまわれて。
祭りの事を聞き付けて来たほかの町の人も遊びに来ていて。
その中には、このカマクラの町ではまだちょっとめずらしい、人間の姿もちらほらと。
カマクラに住む人間といえば、身よりの無い子どもたちを育てている黒い髪の男の人と、
のばしっ放しの金色の髪に赤じそ色の目をした占い師の女の子くらいです。

そうこうしているうちに、お日さまがさよならを告げて森の奥へしずんでいきました。
お月さまがこんばんはと海から顔を出し、空は夜の色に染まっていきます。
ついにやぐらに炎が生まれ、赤々と暖かく燃え始めました。


「もう夜ね。わたしは明日の朝の事があるからもう家に帰るわ」

くされえんのネコがリスにそう告げました。
明日の朝の事というのは、もちろん朝を告げるあのらっぱを吹くお仕事の事です。
もちろん毎日早起きをしなければなりませんから、夜ふかしは出来ないのです。

「……おれも家に戻る。やっぱり……森の事が気になるから」

本当は町の端っこに立つ塔まで行こうと思ったけれど、とリスは言いました。
そこに住んでいる星読み学者のウサギも、ネコとリスにとってはくされえんなのです。
星読み学者の彼はてろんと垂れた古傷入りの銀色ウサギ耳としっぽを生やしていて、
塔の一番上にある、一日の終わりを告げる鐘を鳴らす大事なお仕事をしています。
なので、祭りの終わりを告げるのも彼のお仕事になるのです。
星を読むのも仕事なので、お祭りであっても夜の間は塔から出る事が出来ません。
そんなウサギの元に料理やお菓子を届けようかと思っていたのです。

……でも。
森の事がどうしても気になってしまうのです。
だから、お祭りの事も半分上の空。

「そう。だったら、わたしがあいつの所に届けに行くわ。それくらいは大丈夫だから」
「……いいよ、おれが急いで寄ってから行くから。一寸文句言いたい事もあるし」
「文句は明日でもだいじょうぶでしょ? 気になるなら急いで帰った方がいいわよ」

ネコに背を押されて、リスは広場をうめる人波と逆の方向へ歩き出しました。
楽団の音色にも、輪になって踊る人たちにも、夜ふかしの子供たちにも背を向けて。
後ろで花火の上がる音がいくつもいくつもひびきましたが、ふり返らずに。
花火がふりまく光を明かり代わりに、森への道をまっすぐ一直線に。



“おじいちゃん”と家が見える所まで戻ってきたリスは寒さに身ぶるいしました。
……おかし過ぎるのです。
今日はまちがい無く“春告げの祭り”。もう夜も遅い時間、春でなければならないのです。
それにも、かかわらず。
カマクラの森の奥、長老樹のまわりは……きらきらと光っていたのです。
月の光にてらされて、まわりの空気がまるで上等の宝石をばらまいたようにきらきらと。

それは。
――真冬ですらめったに見る事が無いはずの、ダイヤモンドダストだったのです。



-.-.-.-.-.-.-.-

……さあ去年同様自分の首を絞める方式で始めるとしようか四月馬鹿!!
只今当日(4月1日)午前0時55分。気が向いたらどんどん童話が進むかもしれないよ。

(4/4追加)
佳境まではとりあえず完成。後はどの方向に舵を切るか。
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