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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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――2009.08.14   NIIGATA



「さて掛ちゃん、緋色がお好みと聞いてたけど派手色過ぎない?」
「……臙脂色よりは光反射しそうかなと思ったんだけど」
「むぅ。朱色だとちょっとイメージ違うし臙脂は暗いねぇ、緋色かぁ……」

こりこりこり、と白紙にシャーペンを走らせる相手。
此処は付属中3年4組の教室内、廊下側スペースの一角。
周囲のダンボールには芯棒に巻きつく様々な色の布地が揃っている。

「赤系統で最も赤、って感じなのは猩猩緋なんだけどこれもちょっと違うなぁ。
掛ちゃんはそのものズバリ赤って感じでもないし。ふむ、この辺見てくれる?」

差し出された単語帳型の色見本カードは茜色と深緋(こきひ)、真紅、猩猩緋。

「この中だと深緋かしら。確かに猩猩緋よりは色味が落ち着いてるわね」
「なるほど、そう来ましたか。ふむ……ではどんな形が良いの?」
「ドレスだから動き辛いのはしょうがないとしても、過度なのは余り良くない」
「ふむふむ。露出の程度は?」
「どう見ても学生の範疇越えてるでしょってのは嫌」
「むぅ。そうなると肌見せるのは背中と肩から先位だね、確かに似合いそうだ」

ちょっとタイト風にして炎っぽい感じかなぁ、でも元型は清楚っぽく、と続けて。

「……ふむ。こんな感じで如何でしょう?」
「……どうしてこれだけのラフを数分で書けるのかが一番不思議だわ」
「これがあたしの夢だからねー、毎日が修行よ。んじゃこれで作っていいかな?」
「ごめんなさい、他にも依頼抱えてるのに私の分まで」
「気にしない気にしない、あの御バカ様やり込める為なら協力惜しまないわよー」
「……まだ怒り心頭なのね」
「それは皆同じ事。んじゃこのラフコピーしてヘアメイク担当に回しとこう」

……ああ、やっぱりそういう事だったのか。4組、全て許した訳でも無さそうだ。



さて場所は変わって音楽室。
最近はダンス音楽が常時流れっぱなしの練習場と化していた。

「……で、ココでターン。進んで戻って……だっけ?」
「はい、進んで戻ってまたターン、です」

その端っこで初々しいダンス練習に励む少年少女。一真と、七宮寺。
……妙に彼等の周辺だけ綺麗にスペースが出来ているのは気のせいか否か。

「うー、やっぱ難し。飛んだり跳ねたりみたいな奴と根本的に違うしなコレ」
「……そんなダンスがあるんですか?」
「ん、こういうソシアルだっけ?そういうのと対極にあるようなのがあるんだ」

バレエも全然違うような踊り方するだろ、クラシックとモダンみたいなね、と。

「ええと……そうだテレビで見た事があるんですがブレイクダンス、というのも?」
「ん、確かにそれはソシアルとは対極だな。……多分」
「ああいったダンスも面白そうですよね」
「……七宮寺さんからそういう意見が出てくるとは思わなかった」
「そうですか? とても興味があるんですけれど」

先程一真が言っていた面倒な用事とはこの事だろうか。
……その割にはまんざらでも無さそうだが。
因みに、二人を壁にするような形でマウも見よう見まねで踊っていたりする。
身長の低さを気にしている(曰く「いちるがあの腹立つ身長だから」)一真だが、
七宮寺も年齢の割に小柄なので実の所釣り合いが取れている模様。

「……あ、そうだ。市川さん、当日の衣装決めましたか?」
「んにゃ全然。何着ていいんだかもさっぱり」
「そうですか……あの、私、着てみたい服があるんです」
「着てみたい服?」
「はい! ずっとチャイナドレスに憧れてて!」

……何か一瞬室内の視線が集中した気がする。どの辺にとは言わないが。

「チャイナドレスでお団子頭にして、大きめの扇持ってみたいなぁって」
「……また意外な」
「意外ですか?」
「うん、何か俺のイメージだと振袖とかそういう感じかと」
「着物だと踊るの難しいですよ?」
「……あ」
「それに和装の機会は今までに沢山ありましたし、こんな時位は違う衣装がいいです」
「なるほど……それだと俺も揃えて中国っぽい衣装の方がいいか」
「宜しいのですか?」
「うん、俺さっき何も決まってないって言ったろ? 正直いいネタが降ってきたと思ったし」

何処かでそれっぽいの探してくるかな、と一真が首を傾げる仕草。
隣でマウもにぃ、と同じ仕草。

「色何がいいだろ、周囲がタキシードだの何だのだし黒い方がいいんかな?」
「どうでしょう、衣装の形が他の方と違う時点で目立つと思いますけれど」
「んー、敢えて派手なの持ってくるって方法もあるわけか」
「……あの、市川さん。ええと、その、私は何色が似合うと思いますか?」
「……はい?」

視線集中、再び。さっきより俄然密度が高い。

「……俺の個人的な意見な。凄い淡い紫とか、白、かな……」

内心狼狽だの照れだの押さえ込むのに精一杯の一真が何とか平静を装っての返事に、
ぱぁっと花が咲くような笑顔を見せた七宮寺。

「ありがとうございますっ! 私もドレス探しておきますね!」


……疑うのは辛い。
だけれど、晴れない疑惑は一真の心に澱を積み重ねていく。
その心を察したか、マウが彼のシャツの裾をそっと掴んだ。
にぃ、と物悲しげな鳴き声と共に。
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