◆星に願いを -errare humanum est-

さあ予定では追加２話で終わる筈だったのに何で３話目が、と。
……ほら伏線回収率が微妙とか整合性云々とかさorz

・読まなくたって不都合無い気がしないでもない蛇足感
・今迄の（含追加篇）全て読了済でないと本当に何が何だかさっぱり
・誰の視点なのかは即割れると思うので敢えて言わない

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……メールは久し振り、かな。電話も最近サボり気味だったけど。
うん、何と言うか一寸本当に色々あって元気とは言い難くて。
端的に言うと『学園中暫くＭＭＯ廃人になってもらおうか』的事態が勃発してさ。
その辺は後で纏めてから送るので今は詮索無しで。
……今聞かれたら立ち直れない。
ただでさえほんの短い間だったのに視力落ちた感覚が……


……ええと。
突き詰めれば父さんも関係者になるし、やっぱり報告しとく。

結果から言えば、櫻井先生はもうこの世にいない。
……僕を地縛霊から庇って。
信じる信じないは父さんに任せる。荒唐無稽と一蹴するも自由。
ただ僕にも嘘を吐く理由は無い、とだけ。

ああ、そういえば。
何でそう変態のあの日の行動聞くんだって顔してたよね。
それも事故直前までの間まで念を押すように。
……実はあの時、ひとつ思い出した事があったんだ。


漸くまがりなりにも復活して暫く、校内では傍に一真が引っ付いて離れなかった。
……余程心配してくれてたんだと思う。
一真からすれば相当怖かったのかもしれない。俺の変貌の半端無さが。
まさかこいつ壊れたんじゃ、とか想像したとしても不思議は無い。

……ええと、それで。
その頃に引っ付き引っ付かれだったのは俺と一真だけじゃ無かった。
結ちゃん千奈ちゃんと、篤輝も。特に登下校時は必ず。
それに気付いて、話を聞いた。千奈ちゃん家に５人集まってケーキ食べつつ。

曰く、篤輝は二人の護衛役。何かあったら実力行使も辞さない位に。
千奈ちゃんは結ちゃんが一人で怖い思いしないように寄り添い。
……つまり、守られてたのは結ちゃん。
まあ小学１年生に出来る事なんてたかが知れてるだろうけど、
集団の力って意外に馬鹿に出来ないしね……。
ええと、それで守られてた結ちゃんに事の顛末を聞いた。
曖昧にしか思い出せないって言ってたけど、聞ける範囲は全部。

事故のあったまさにその日、結ちゃんは変なおじさんに遭ってた。
しかも下校途中に突然腕掴まれて車に連れ込まれそうになったんだって。
暴れても大人の力には勝てないとはいえそれでも抵抗してたら、
通りかかった長い髪の女の人に助けてもらった。
そのまま一直線に逃げ帰ったから誰なのか思い出せないけど、
でもその人自分の名前を知ってたんだ……って。

……変なおじさんというのは、十中八九あの変質者だろう。
突然腕掴まれて抵抗出来ず奴の車に連れ込まれそうになったって辺り、
父さんが翌日の朝礼で聞いた話と一致する。
更に結ちゃんはクラスメイトだから勿論俺と学校一緒だったし。

そして助けてくれたのは長い髪の女の人で、結ちゃんの名前を知っていた。
父さんが見た発車直前の奴の車から転がり落ちた人は……櫻井先生。
……こっちも、一致するんだ。
何故結ちゃんが先生と気付かなかったのかって疑問はあるけど、
恐怖に意識が支配されてた事に加え世界結界が働いたのかもしれない。
妖獣突撃をダンプカー暴走だと思い込むのと似たような感じなのかも。
推測でしかないけどさ。

ここからは全部俺の想像。
あの日下校途中の結ちゃんに回覧回るレベルの変質者が手を出し、
其処に偶然（又は必然か）通りかかった櫻井先生が結ちゃんを逃がし、
……多分先生はその時に奴に相当の傷を負わせた。血も奪って。
首に残った縄系統の跡は……蛇、なんだろう。
奴が自力で逃げようとしたのか先生がわざと逃がしたのかは不明だが、
瀕死の状態でまともな運転が出来る筈もなく、交差点へ突っ込んだ。
……そうして、怜とくなぎが。

だけど……こうも言える。
下手をすると今墓地で眠るのは怜じゃなく結ちゃんだったかもしれなかった。
又は２人とも下越で元気にやってるかもしれなかった。
最悪の事態だったら……２人とも墓地で眠っていたかもしれなかった。
……甘いって言われるかな、父さんに。
それでも先生は、先生だったんだと俺は思っていたい。


あ、微妙に大事な事忘れてた。
全て終わった帰り道で一真に偶然逢った。妹さん連れてて。
……ケットシーとシャーマンズゴーストも一緒だった。冗談抜きで。
遂に一真もこっち側の仲間入りかぁ……因みに一真の方がケットシー。
あいつ学院付属中だから、はたに頼んで色々聞いてもらおうと考え中。
え？　はた介さずとも悪友同士自分等でメールやり合えって？
……今目が痛くて教科書すら読めない。このメールも既に苦行の域。


どうやら鎌倉も天の川はお預けみたい。そっちも天気悪そうだね。
それじゃ、学園祭終わった頃にまた連絡する。
……せめて身体の方は元気になってて欲しいけど。
はたには後でメール入れとく。何か妙に最近僕の心配ばかりしてる。
双子の第六感なのか、それとも柔い弟が気に食わないのか、
どっちなのかは聞かない事にしとこう……多分後者だ。どうせ。



「……多分後者、なぁ。だが親父としては前者に賭けとくさ、お前は柔とは程遠いんだよ」