◆凍てし雨夜の霧纏う夢

　　※ ≪注意≫
　　※今夜も４月１日恒例ネタ再びれっつらごーで参ります。
　　※何が起ころうとも一夜の夢です。ええ夢だとも。
　　※連作のＳＳが結局３月中に終わらなかったのに何してんだ的指摘は闇に葬ります。


　　※（……矛盾潰しが暗礁に乗り上げたとかそんな事は決して、ほら、そのorz）

◆errare humanum est -5-

――2002.01.23

◆errare humanum est -4-

――2002.01.08

◆errare humanum est -3-

――2002.01.07

◆errare humanum est -2-

――2002.01.07

◆errare humanum est -1-

……という訳で（？）予告通りアンオフィ境界線ギリを滑空するＳＳ開始。
以下の状況が起きる（可能性がある）為、地雷だと思ったら回れ右を推奨。

・舞台は今年（２００９年）と７年前（２００２年）、共に某下越地方（いちるの故郷）
・いちるの一人称が９割方『俺』
・いちるが罵詈雑言吐いたり冷淡な言動だったり黒さが見えたり
・時代考証や気候等の把握が完璧じゃないので何処かおかしくなったりするかも
・とある登場人物の言動が完全アンオフィになるかもしれないとか
・第三者視点といちるの視点が物の見事に混在する
・中途半端な所でナンバリング（章）が変わる

……等々。

尚、今年か７年前かは西暦表記でナンバリングの頭に挿す予定。
基本的にナンバリング内は同じ時間軸で纏め……られればいいなぁ。


――完結目標は今月中、とか８割方無理くさい大風呂敷広げつつ。

Lettera ad arcobaleno

……あれから、もう７年。

風景が目まぐるしく変わった所もあれば、全く変わらない所もある。
そんな中で今まで何故かあの日だけは、いつも雨が降った。
７年前のあの日を繰り返すように、暗い空から降り注いで。

だけど、今年は。
……晴れたんだよ。７年ぶりに。
だからいつものクッキー、濡れずに届いたよな？

毎年あの交差点も見てるけど、澱み残る心も感じない。
……この期に及んで現れるなよ？この手で祓うとか絶対嫌だからな。



また逢えるのがいつになるかは分からない。
ほんの数日先かもしれないし、何十年も後かもしれない。
だけどそれまで、待っててくれる？

天に架かる虹の橋の向こうで、くなと一緒に。

……待ってて、くれるよね？



 

Calling.

――2009.03.12　22:41



「――もしもし、はた？　今電話しても平気？」

『２３時までならね。明日早いから。……何かあったの、いち？』

「あー、今の時間で家の電話鳴らすとマズいと思ってはたの携帯に」

『……確かに。父さん達に伝言あるなら伝えとくわ、私が聞いていいものなら』

「あ、ええと、３月の末にそっち戻ろうと思って。鎌倉へ持ってきたい本探したりで」

『本、っていちの部屋の？　……ごめんなさい何冊か借りてたわ私』
 

「いや置いてってたのは自由に持ってって構わないってば。何故に他人行儀」
 

『……色々と察して頂戴』
 

「……えー？」
 

『冗談よ。簡単なお菓子作りの本借りてたの。流石にいち程には上手じゃないけど』

「……ねえはた、母さんに料理関係だけは僕をモノサシに使うの禁止って言われてたよね」

『そうは言われても、女には時にプライドを守らなきゃいけない時があるのよ』
 

「……風邪引いてる？　それとも寝ぼけてる？」

『……やっぱり白々しい嘘はすぐ分かるか』

「何年双子やってると思ってんだ」

『梅雨が来たら１５年目突入ね』

「まあ兎も角月末には戻るから。詳しい日程は追々連絡する」

『分かったわ、伝えとく』
 

「あ、何か鎌倉とか横浜とかのお土産要る？　希望無さそうなら俺の方で見繕ってくけど」

『個人的な希望出していいなら中華街で本場の馬拉糕買ってきて』

「了解」

『ねえ、いち』
 

「ん？」

『……今さっき、自分の事“俺”って言った』

◇Cabina di tronco della felicità

……そして予期せぬオチで得た１週間のサドンデスの後。



２００９年３月９日午前１時、双子のログハウスの扉の鍵が相次いで閉まる。
本結社【暇潰し～命懸けでツブせ～】、そして分社の【AZURE BRIGHT～暇潰会議室～】。

あの場所で出逢えた沢山の方々に、今一度の尽きぬ感謝を。

Cabina di tronco della felicità

――暖かくて大騒動で真剣で楽しくて。

本当に幸せな場所だった。

此処にいられて良かったと、心から思える場所だった。

日当たりの良い空き地に建つ双子のログハウスと、其処で出逢った沢山の方々へ。



……煌き甘く咲き誇る、尽きぬ感謝の花束を。