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@ PBW(Play By Web) "SilverRain" & "PSYCHIC HEARTS"
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――2011.08.30




「……部屋の様子は下と余り変わらないのですね」
「もきゅー」

半ば朽ち掛けた階段を昇りきり狐変身を解いた稚都世と、寄り添う花雹。
繋がる階段がこうなら1階よりも荒れているのではと想像したが、どうやらそうでもない模様。
2階は主に家族の寝室や個室として使われていたのか、
どの部屋にもスプリングが錆び付き飛び出したベッドの存在が。
雨雪が吹き込んだかぼろぼろの本ばかり並ぶ本棚の部屋は主人の書斎だったのか、
虫食いで破け色褪せた無惨な衣装がクローゼットに満載の部屋は夫人の部屋だったのか、
往事の縁を偲ぼうにも過ぎし時の残酷さを見せつけられるような光景。

その一番奥。
表面が破れ綿の溢れた縫いぐるみ。
半ば土に帰りつつある揺り木馬。
日焼けのせいか赤茶に変色した上ズタズタに引き裂かれた天蓋付きベッド。
片目どころか顔の半分に大きな罅が走るセルロイド人形。
――多分、部屋の主は少女だったのだろう。

「……何でしょうか、この染み」

天蓋に、ベッドに、床の絨毯に、棚に散る赤茶の染み。
一番大きく酷い染みはベッドの上に。
とある可能性を想像し……ざわり、と稚都世の背筋に寒いものが走る。
思わず慌てて周囲をきょろきょろと見回した彼の目が、ふと棚の上にある物を認めた。

端に罅の入った硝子の写真立て。
写っているのはひとりの少女。……いや、ふたり?

「あれ、この写真……」

既視感。
首を傾げる彼の横で、花雹も何か引っかかっているのか、きゅう、と一声。

「――あ、そうか」

何処かで見た気がする理由に思い至り、彼は写真立てを手にしたまま少女の部屋を出た。
後ろに従う花雹へ一度それを預け、再び狐変身を用いて少々危険な階段を降りていく。
行きより多少おっかなびっくりながらも何とか無事に階下へと2匹は戻り、
少年の姿に戻った稚都世は相棒の花雹から再び写真立てを受け取って。


――もう一度、ひとりと1匹は洋館の奥へと。
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